胃アニサキス症
いあにさきすしょう

最終編集日:2022/3/30

概要

魚介類に寄生しているアニサキスの幼虫が原因で急な腹痛を起こす、一過性の感染症です。魚介類を生で食べる食習慣との関連が強く、刺し身や寿司を好んで食べる日本人に多い食中毒です。アニサキスは多くの魚介類に寄生していて、代表的な魚介類にはサバ、イワシ、アジ・サンマ、タラ、イカなどがあります。一般に冬に多くみられますが、地域によってもばらつきがあります。

原因

アニサキスの幼虫はイカやサバ、イワシなどの内臓や筋肉内に寄生しています。これらの魚を生で食べると、胃や腸のなかでアニサキスの幼虫が消化管の壁に食いつくため、強い腹痛が起こります。アニサキスは加熱(60℃で1分以上)、または冷凍(-20℃で24時間以上)することで死滅させることができますが、酢漬けや塩漬けなどの調理法では生存が可能です。刺し身や寿司から感染するケースが多いのはこのためです。


●アニサキスが発見されやすい魚介類

サバ(しめサバも含む)、イカ、サンマ、サケ、カツオ、イワシ、アジ、タラ、ホッケなど


症状

一般に、サバやアジ、イカなどを生で食べてから数時間後(6〜12時間)に激しい腹痛と嘔吐の症状が現れます。ギューッと絞られるような痛みを何度もくり返し、嘔吐の症状はあっても下痢の症状は認められないことが、ほかの食中毒と異なる点です。まれに痛みなどの症状がほとんど出ない緩和型のアニサキス症もあります。

検査・診断

問診では原因となりうる魚介類を食べたかを確認します。食事の内容や痛みの状態などから胃アニサキス症が疑われる場合には、胃カメラ(胃内視鏡検査)で胃の内部を観察します。アニサキスを確認できたときにはその場で除去します。また、必要に応じて腹部超音波検査や血清抗体検査などが行われます。

治療

胃アニサキス症は、胃のなかにいるアニサキスを除去すれば症状が改善します。命にかかわるような病気ではありませんが、激しい痛みなどで患者さんの苦痛が大きいため、胃内視鏡検査で確認されたアニサキスのすべてを速やかに除去することが重要とされます。

セルフケア

予防

生の魚介類が感染源となるため、生食を避ければ予防できます。アニサキスは、60℃の熱で1分以上加熱するか、-20℃で24時間以上冷凍すれば死滅します。そのため一度冷凍してから解凍した刺し身などは安全といえます。

また、アニサキスが寄生しやすい魚介類(サバ、イワシ、アジ、タラ、イカなど)を覚えておきましょう。食べる前に魚の身をよく観察し、魚の身に渦巻き状の箇所を見つけたら取り除いたり、よく噛んで食べることも胃アニサキス症の予防に役立ちます。


監修

鳥居内科クリニック 院長

鳥居明

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