IgA血管炎あいじーえーけっかんえん
最終編集日:2022/8/29
概要
IgA血管炎(ヘノッホ・シェーライン紫斑病)とは、皮膚の小血管の炎症によって、紫斑をはじめさまざまな症状を伴う病気です。
3~10歳くらいの子どもに好発しますが、一般的に予後(治療の見通し)は良好です。しかし、成人では再発しやすく、重度の腎障害に発展する場合もあります。
原因
からだを守る免疫システムのひとつであるIgAという抗体が血管壁に沈着し、炎症をひき起こすことが原因と考えられていますが、発症のメカニズムは不明です。
細菌・ウイルスによる感染(β-溶連菌、水痘ウイルス、アデノウイルス、マイコプラズマなど)、副鼻腔炎やう蝕(むし歯)、悪性腫瘍、薬剤や食物などが誘因となることもあります。小児の場合、β-溶連菌に感染した後に発症することが多いです。
症状
下肢などにわずかに隆起した小さな紫紅色斑ができることが初期症状です(ほかの部位にできることもあります)。この紫紅色班は指で押しても色が消えないことが特徴で、重症化すると水ぶくれ(水疱)になったり、皮がむけたりすることがあります。
皮膚症状のほか、関節痛、消化器症状(腹痛、下痢や嘔吐など)、腎臓病(たんぱく尿、血尿、足のむくみなど)といった症状が出てきます。とくに3~10歳くらいまでの子どもが発症することが多く、その場合は予後の良い病気ですが、成人が発症した場合は再発しやすく、重度の腎障害をひき起こすことがあります。
検査・診断
通常は血液検査や尿および便潜血検査を行いますが、成人の場合は皮膚の一部を採取し、病理組織学的検査をする場合もあります。
血液検査では炎症反応や血清IgA値の上昇がみられます。消化器症状のある場合には便潜血検査、腹部超音波検査、上下部消化管内視鏡検査を行います。
血尿やたんぱく尿、足のむくみなどがあり、腎障害が疑われる場合、腎生検による病理組織学的検査をする場合もあります。
治療
紫斑に対しては安静を保ち、経過観察を行います。止血薬や血管強化薬の飲み薬やステロイドの塗り薬を用いることもあります。
関節痛には非ステロイド系の抗炎症薬などを用いますが、治まらなければ副腎皮質ステロイドの内服薬を使用します。
軽い腹痛や吐き気などの消化器症状は安静にして輸液により対処しますが、強い腹痛や下血などの場合は副腎皮質ステロイド薬を服用します。腎障害にも副腎皮質ステロイド薬の内服薬を用いますが、重度の場合は、薬剤を1回に大量投与するステロイドパルス療法や免疫抑制薬を併用した治療が検討されます。
成人が発症した場合、完治した後も再発の恐れや腎臓病を発症する可能性があるので、注意が必要です。
セルフケア
療養中
初期症状から時間を置いて腎炎を起こすことがあるため、定期的に尿検査を行うことが重要です。
監修
関東中央病院 皮膚科 部長
鑑慎司
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