脱色素性母斑だつしきそせいぼはん
最終編集日:2022/10/31
概要
生まれつきの症状で、不完全な脱色素斑(白斑)です。皮膚の一部が白く抜けて乳白色に見えるもので、出生時にすでにはっきりしていることもあれば、幼児期になって気づくことがあります。
体幹部に現れることが多く、白斑の大きさ・分布・数が変化することはなく、痛みやかゆみもありません。有効な治療法は確立されていません。
原因
皮膚のメラノサイトがメラニン色素をうまく産出できず、その結果として皮膚の色が白く変色します。尋常性白斑と異なり、基底層のメラノサイトは正常どおり存在しています。この病気には遺伝性はありません。
症状
出生時に皮膚の色が白く抜けて乳白色に見える部分があります。出生時にはっきりしているケースと、幼児期もしくは少し成長してから気づくこともあります。
白斑のふちはギザギザです。形態は、類円形・不規則・点状・多角形・帯状などで、大きさや数もさまざまです。
背中や臀部などの体幹部を中心に現れます。数や分布は生涯一定です。
白斑表面の皮膚に違和感はなく、痛みやかゆみなどの知覚異常もありません。
検査・診断
皮膚の経過などを詳細に観察し診断します。
脱色素性母斑と同じように、皮膚の色が白くなる病気と区別することで特定しますが、鑑別のポイントは、生まれつき存在すること、大きさが変わらないことの2つです。
皮膚の色が白くなる鑑別すべき病気には次のようなものがあります。
●尋常性白斑
大きさが拡大していく場合に疑われます。自己免疫が、自分の色素細胞を誤って攻撃する疾患で、先天性のものと後天性のものがあります。発疹の色調は脱色素性母斑よりさらに白色に近いです。
●サットン母斑
ほくろを中心に、白く色が抜けていき、後に尋常性白斑を合併することがあります。
●葉状白斑
結節性硬化症は幼児期に葉っぱ状の脱色素性母斑が現れるので、てんかんや精神発達遅滞などの合併症の有無を確認します。
●老人性白斑
小さな不完全脱色素斑が散在します。20歳代から現れ加齢とともに増加していきます。
●皮膚真菌症
うろこ状の粉(鱗屑)を伴う場合はマラセチアによる癜風(でんぷう:マラセチアによる皮膚感染症)の可能性があります。
診断に迷う場合には、皮膚の一部を採取して顕微鏡で特徴的な変化を確認する病理組織学的検査が必要になることもあります。
治療
脱色素性母斑に対する有効な治療法は確立されていません。
脱色素性母斑の部分を服で覆ったり、化粧品を用いて周囲の肌色と目立たなくしたりするなど、精神的な負担を軽減する工夫が必要です。脱色素性母斑を手術で除去する場合もあります。
監修
関東中央病院 皮膚科 部長
鑑慎司
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