太田母斑
おおたぼはん

最終編集日:2025/2/5

概要

太田母斑は皮膚に現れる「青あざ」の一つです。

皮膚は表面から、角層-表皮-真皮-皮下組織と層になっています。皮膚の色のもととなる「メラニン色素」は通常、表皮に存在しますが、太田母斑では真皮内でメラニン色素およびそれをつくるメラノサイトという細胞が増加します。

青あざには生後すぐにできるものと(例えば蒙古斑)、思春期以降、成人してからできるものがあります。太田母斑は生まれつき、あるいは生後間もなく出現することが多く、女性に好発します。


原因

太田母斑のなかには、遺伝子異常がかかわっているものがあります。また、思春期以降に出現するものには紫外線やホルモンバランスが影響するといわれていますが、原因は明らかになっていません。



症状

片側の、目の周辺や頰、耳の辺りに青いあざが現れます。乳児期に薄いあざがあって、それが徐々に濃くなってくるものや、顔の両側に出現するものもあります。白目部分が青くなることもあります。

あざに気づいたら、皮膚科を受診します。


検査・診断

皮疹の色調や異常の分布をみて診断します。

治療

太田母斑は自然に消失することはありません。真皮にメラニン色素があるため、美白剤は効果が期待できず、Qスイッチレーザーやピコ秒レーザーを用いたレーザー治療が中心になります。

皮膚の表面にこれらのレーザーを照射すると、真皮内で熱エネルギーとなってメラニン色素を破壊してくれます。しかも周囲の正常な組織へのダメージが少ない治療法です。照射は痛みを伴うため、麻酔クリームなどを用います。小児の場合は全身麻酔下で行うこともあります。

照射後はサンスクリーン剤を塗るなど紫外線予防に努めます。一時的に色素沈着が起こることがあります。

照射後、3~6カ月かけて効果を確認し、十分な効果が得られるまでくり返し照射します。まれにレーザー照射後に再発することもあります。


セルフケア

療養中

レーザー治療の効果を上げるために、また合併症の色素沈着を軽減するために、治療後は紫外線を避けることが大切です。かさぶたができたときには、はがさないようにし、水疱になったときには触らずにそのままにしておきます。

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監修

関東中央病院 皮膚科 部長

鑑 慎司