クッシング症候群

くっしんぐしょうこうぐん

最終編集日:2023/8/20

概要

クッシング症候群は、副腎皮質ホルモンのひとつであるコルチゾールが過剰に分泌され、全身にさまざまな症状が生じる病気です。

コルチゾールは、大きなストレスがかかったときに心やからだを守るためにつくられます。しかし、コルチゾールが多すぎると血糖値が上がりすぎ、糖尿病のリスクが高まり、高血圧悪化の要因になります。このコルチゾールの値が常に高い状態をクッシング症候群といいます。


原因

コルチゾールが増える原因はいくつかあります。クッシング症候群のなかでも、下垂体からACTH(アクス:副腎皮質刺激ホルモンと呼ばれ、副腎皮質にコルチゾールをつくる命令をするホルモン)が過剰に分泌されることで副腎が刺激されコルチゾールが過剰に分泌されたものをクッシング病(下垂体腺腫)、副腎腫瘍などにより副腎からコルチゾールが過剰に分泌されたものを副腎性クッシング症候群といいます。

ACTHは肺がんのように全身のどこかで生じた腫瘍からもつくられることがあり、下垂体以外からACTHが過剰につくられることで発症するものを異所性ACTH産生腫瘍によるクッシング症候群といいます。

クッシング症候群は、副腎がんのひとつの症状として現れることがあります。副腎がんでは、副腎由来のさまざまなホルモンが過剰に分泌されることがあり、そのなかでコルチゾールの分泌が過剰だった場合がこれに該当します。


症状

コルチゾールが過剰になると、皮膚が薄くなったり血管の壁が弱くなったりします。前腕や下肢の皮膚が薄くなり皮下の毛細血管が透けて見えるので、皮膚全体がピンクのまだら模様になったりします。血管が弱くなるため皮下出血が起こりやすくなり、むくんだ赤ら顔になったりします。

体幹部の脂肪細胞が増えて、おなかが出ている割に、手足がやせて大腿部が細くなってきたり(中心性肥満)、両肩にこぶのような脂肪(野牛のこぶ)がついたりします。ほかには、多毛でにきびができやすくなったり、顔にむくみが生じて丸くなったり(満月様顔貌)します。加えて、精神的な影響も生じるので、うつ傾向がでてきます。

ACTHの増加によって、関節部やこすれるところの皮膚が黒っぽくなります。病原菌と戦う白血球の機能がコルチゾールの作用によって低下するため、感染症を起こしやすくなります。また、高血圧、糖尿病、高コレステロール血症、胃十二指腸潰瘍、骨粗鬆症などの引き金にもなります。


検査・診断

クッシング症候群、またはそれに類似した病気が考えられる場合、血液検査で血液中のコルチゾールや、同じく副腎皮質ホルモンであるアルドステロンや性ホルモンの値を測定します。同時にACTHの値も調べます。尿検査でコルチゾールの値を測定することもあります。

クッシング症候群を疑う場合には、全身のどこかに何らかの腫瘍ができていることが考えられるため、頭から胸部、腹部、骨盤に至るまで全身のCT検査を行うことが一般的です。CT検査で腫瘍が発見できても、どこに最終的な原因があるのかを確定する必要があります。それにはデキサメタゾン抑制試験という検査を行います。


治療

副腎皮質や下垂体で腫瘍が見つかり、コルチゾールの分泌が過剰で症状が出ている場合には、手術療法が原則となります。

クッシング症候群の原因が、副腎腫瘍や副腎がんであった場合は、治療としてまず副腎摘出術が考えられます。副腎の摘出は、腹部または脇腹に傷をつけて腎臓の頭側にある副腎の腫瘍のみ、あるいは腫瘍を副腎ごと摘出します。

手術が困難な場合は、副腎皮質ホルモンがつくられるのを抑える薬(メチラポン、ミトタン、トリロスタン)を用いた治療を行います。


セルフケア

療養中

コルチゾールには、糖新生亢進、抗炎症作用、骨吸収促進、胃酸分泌促進、脂質代謝異常などの作用があり、さまざまな合併症や症状も心配されます。糖新生亢進作用による血糖値の上昇(ステロイド糖尿病)、骨吸収促進作用による骨粗鬆症、胃酸分泌促進作用による消化性潰瘍、脂質代謝異常作用による脂肪の分布異常(中心性肥満)などが主なものです。

合併症やそれによる症状を知っておくと、一見、無関係に思える症状が出た場合も医師に相談しやすくなります。


監修

医療法人青泉会下北沢病院 糖尿病センター長

富田益臣

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