ビタミンD不足の日本人 ~食事と日光浴で改善を

最終編集日:2023/10/19

ビタミンDは私たちが健康に生きるために欠かすことができない栄養素です。しかし不足しがちであり、最近の調査(東京慈恵会医科大学などによる大規模調査)で「日本人の98%がビタミンD不足」という実態も明らかになりました。どうしたらビタミンD不足を改善できるか。そのカギは「食事」と「日光浴」にあります。


●骨の健康だけでなく、ほかの病気の予防にも欠かせない

ビタミンは健康な生理機能を維持するために不可欠な栄養素で、全13種類あります。その1つであるビタミンDの大きな役割は腸内でのカルシウムの吸収を促進し、丈夫な骨を維持することです。不足すると骨折や骨粗鬆症などの発症リスクが高まります。

このほか、ビタミンDは免疫機能を調節したり、細胞の成長や分化、神経伝達物質の機能などにも関与したりしています。それらに注目した最近の研究では、ビタミンDが感染症やがん、心臓病などさまざまな病気を予防するように作用しているという報告が相次いでいます。筋肉を維持する働きも注目されたり、ビタミンDが足りている人は糖尿病のリスクが低いことも報告されています。

このように健康維持に欠かせないビタミンDですが、食事からとるだけでなく、紫外線を浴びて皮膚でも合成されます。つまり「食事由来」と「皮膚由来」という2つのルートから得られます。


●ビタミンDは魚、きのこに多く含まれている

1日に必要なビタミンDの摂取量は男女(18歳以上)ともに8.5㎍(マイクログラム)です(「日本人の食事摂取基準2020年版」厚生労働省)。含有量が多い食品は魚類です。なかでもサケは含有量が多く、1切れ(80g)で25.6㎍もあり、水煮缶詰(100g)でも8.0㎍です。ほかには、サンマ(1尾100g)やイワシ丸干し(1尾30g)は15〜16㎍。シラス干し(半乾燥品大さじ2)やブリ(1切れ80g)、メカジキ(1切れ80g)は6〜7㎍で、魚類はぜひ食べたい食品です。卵(1個55g)も約2.1㎍のビタミンDが含まれています。

植物性の食品では、きのこ類がおすすめです。乾燥きくらげ(2個2g)は1.7㎍、干ししいたけ(2個6g)は約1.0㎍のビタミンDが含まれています。

一方、肉や野菜、穀物、豆、いも類にはほとんど含まれていません。

※重量は正味。※数値は「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」(文部科学省)より


●日光を浴びると体内でビタミンDが生成される

皮膚にあるビタミンDの前駆体に紫外線(UVB)が当たると化学反応でビタミンDがつくられるので、適度に太陽の光を浴びること(日光浴)も心がけたいものです。

紫外線の量は季節や場所、時間帯によって大きく異なりますが、目安としては毎日15〜30分程度、顔と手の甲(あるいは手のひら)に日光が当たるようにするとよいでしょう。夏の晴天時であればもっと短時間でもよく、逆に日差しの弱い冬はもう少し長くてもよいぐらいです。日焼け止めをしっかり塗った状態や、ガラス越しの場合はUVBが皮膚に届きづらいので効果は下がります。

監修

医療法人青泉会 下北沢病院 糖尿病センター長

富田益臣

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