体調不良の原因は冬の「かくれ脱水」かも
最終編集日:2026/1/19
体内の水分が不足している状態を「脱水」といいます。暑い夏に脱水が一因となり熱中症を引き起こすことはよく知られていますが、実は冬も気づかぬうちに体内の水分が減ってしまう「かくれ脱水」が起こることがあります。身体の不調につながることもあるので、注意したい現象です。
●冬だからこそ起こる脱水
汗をかいたりしない冬に脱水が起こる理由のひとつは、空気の乾燥です。外気の乾燥やエアコンなどの暖房器具の使用によって、空気がカラカラに乾燥してくると、皮膚や粘膜からいつも以上に水分が蒸発し、脱水につながります。気温が低いため、水分をとろうという気にならない、寒さでトイレが近くなることを回避するために水分を控えがちになるといったことも脱水を促進します。
このように冬でも脱水は起こるのですが、夏のようにたくさん汗をかいたり、強いのどの渇きがあったりするわけではないため、脱水に気づかないまま、「かくれ脱水」が進んでいきます。特に高齢者はのどの渇きを感じる感覚が弱まっていることがあり、脱水が進みやすいといえます。
●「かくれ脱水」のサイン、受診の目安
脱水が起こると、まず口が渇き、皮膚が乾燥し、尿の色が濃くなります。このような症状が現れたら、「かくれ脱水」のサインかもしれませんので、水分補給を心がけて様子をみましょう。
脱水が進むと、次のような症状が現れてきます。
・体の疲れ、だるさ、頭痛、肩こり:血液が濃くなって脳や筋肉への酸素・栄養供給が低下するため
・めまい、立ちくらみ、ふらつき:脱水によって血液量が減り、脳への血流量が減るため
・集中力や思考力の低下:脱水によって脳の働きが悪くなるため
・便秘:腸内の水分が減るため
・足がつる、こむら返り:筋肉の水分量が減るため
こうした体の不調が続くときは、受診が必要です。
重度になると、意識がぼんやりしたり、脈が速くなったり、強いめまいが起こったりします。すぐに医療機関に行くか、救急車を呼びましょう(迷うときは「♯7119」に電話して相談)。
⚫️「かくれ脱水」で免疫力低下や血液ドロドロを招くことも
「かくれ脱水」が起こると、免疫力が低下する可能性があります。私たちの体は口や鼻の粘膜がバリアとなって、ウイルスや細菌が体内に侵入しないように守ってくれています。ところが、脱水によって粘膜を覆っている粘液の分泌が不足すると、ウイルスや細菌を排除する働きが弱まってしまうからです。そのため、風邪やインフルエンザといった感染症にかかりやすくなってしまいます。また、脱水によって便秘になり、腸内環境が悪化すると、腸内細菌による免疫バランスが崩れることもあり、要注意です。
さらに注意したいのは、脱水によって血液が濃くなると、動脈硬化が進んでいる人の場合は血管が詰まりやすくなり、脳梗塞や心筋梗塞といった深刻な病気を引き起こす可能性があることです。
●「かくれ脱水」を防ぐ水分のとり方、食事のとり方
脱水対策には、こまめな水分補給が必要です。のどが渇いていなくても、ときどき水やお茶(麦茶などのカフェインのないもの)、スポーツ飲料などを飲むよう心がけましょう。カフェインを含むコーヒーや緑茶などは、人によっては利尿作用が強く出ることがあり、多量に飲むと脱水を促進してしまうことがあるので注意が必要です。
食事は、栄養バランスのよい食事を基本として、みそ汁やスープなどの汁物を添えたり、食後に果物を食べるなどして、積極的に水分を摂取しましょう。鍋料理は栄養のバランスがよく、水分もとれるのでおすすめです。
なお、室内の空気が乾燥しているときは、加湿器を使ったり、室内に洗濯物を干すなどして、湿度を40〜60%ぐらいに保つようにしましょう。
監修
済生会横浜市東部病院 患者支援センター長
谷口 英喜