胸の痛みは「肋間神経痛」かも…
最終編集日:2025/9/29
肋間神経痛(ろっかんしんけいつう)とは、肋骨に沿って走る「肋間神経」が何らかの刺激を受け、痛みを感じる症状の総称です。
胸の痛みを起こす原因はさまざまです。脊髄や肋骨に原因がある場合、帯状疱疹やその後遺症による発疹を伴わない痛みのほか、原因が特定できないものもあります。なかには、内臓疾患の関連の痛みとして生ずることもあり、心臓疾患や肺疾患、胃や食道の疾患、腎臓疾患など、幅広い疾患が該当する可能性があります。
安易に自己判断せず、まずは医療機関を受診して適切な検査を受け、原因を調べることが大切です。
●肋間神経痛の原因は?
肋間神経痛は、背中から胸にかけて急に電気が流れるような鋭い痛み、もしくはジクジクとした痛みを伴います。時には背中からわき腹、胸の前面やおへその周辺まで痛みが発生することもあります。痛みはすぐに治まりますが繰り返すことも多く、呼吸ができないほどの痛みを感じることもあります。またほとんどのケースで、両側ではなく、片側だけに症状が現れるのが特徴です。治療のためには、痛みとなる原因を調べることが大切です。
肋間神経痛の原因はさまざまですが、おもに胸椎椎間板ヘルニアや変形性脊椎症など脊髄に要因がある場合や、肋骨骨折など肋骨の負傷が原因で肋間神経が圧迫・刺激されて起こる場合があります。前かがみで胸郭を圧迫するような姿勢を長時間続けることが多い場合にも生じるケースがあります。
また、帯状疱疹が原因となることもあります。帯状疱疹はウイルスの感染により神経痛をひきおこし、胸部に出る場合、肋間神経に沿って痛みを伴います。発疹が現れる前から痛みが起こることもあるため、気になる症状があれば早めに医療機関を受診しましょう。さらに、皮膚症状が消失した後の後遺症として帯状疱疹後神経痛が残り、胸が痛む場合もあります。
●肋間神経痛の治療法
肋間神経痛は、おもに薬物療法で対処します。アセトアミノフェンなどの鎮痛薬の処方のほか、神経痛の原因となっている箇所に麻酔薬などを注入する「神経ブロック注射」などを行います。帯状疱疹などの感染による肋間神経痛の場合は、抗ウイルス薬などが用いられます。
また、リハビリテーションやストレッチなどの運動療法が行われることもあります。
セルフケアとして入浴による血行促進、上半身のストレッチなども効果的といわれていますが、必ず医師と相談した上で行うとよいでしょう。
胸の痛みには、重大な病気が隠れている場合もあります。気になる症状が続くときは、自己判断せず、早めに医療機関を受診することが大切です。
監修
みんなの家庭の医学メディカルチーム