冬に多いノロウイルス感染
最終編集日:2024/12/30
ノロウイルスは、急性胃腸炎の原因となるウイルスの一つです。ノロウイルスによる食中毒は1年を通して発生しますが、特に冬から春にかけて多く発生する傾向にあります。感染力がとても強く、汚染された食品を食べて感染するほか、手を介してヒトからヒトへと感染します。感染すると、吐き気、嘔吐、下痢、腹痛、頭痛、発熱、倦怠感などの症状が現れます。多くの場合、感染しても数日で自然に回復しますが、子どもや高齢者は重症化しやすいので注意が必要です。
●ノロウイルスの感染経路
ノロウイルスの感染経路は、次の3つが考えられます。自身が感染源にならないよう、感染経路を知って予防に役立てましょう。
【経口感染】
ノロウイルスに汚染された食品(カキなどの二枚貝が多い)を生または加熱不十分で食べたり、汚染された水(井戸水など)を消毒不十分で飲んだりすることで、ノロウイルスに感染します。また、ノロウイルスに感染した人が調理した食品にウイルスが付着し、それを食べて感染することもあります。
【接触感染】
感染した人の便や嘔吐物を処理する際に、手指にノロウイルスが付着し、その手で口や鼻に触れたり、食品を食べたりすることで感染します。また、感染した人が触れた衣服、ドアノブなどに触れることで、手を介して感染することもあります。
【飛沫感染・塵埃感染】
感染した人のの飛沫を吸い込んだり、床などに残った便や嘔吐物が乾燥して埃とともに舞い上がったものを吸い込んだりすると感染します。
●家庭でできるノロウイルス対策
ノロウイルスは非常に感染力が強いので、家族など身近な人に次々と感染が広がることがあります。家庭で感染者が出た場合、便や嘔吐物の汚染がなくても感染が広がる可能性があります。ほかの家族に感染を広げないためにも、次のことを心がけて家族全員で対策することが重要です。
【手洗い】
感染の多くは、人の手にノロウイルスが付着することから始まります。ノロウイルスは自然環境の中で長期間感染力を持つことがあるため、いつどこでノロウイルスが手に付着するかわかりません。そのため、こまめな手洗いが必要です。
帰宅時、トイレのあと、調理の前、食材を扱ったあと、便や嘔吐物の処理のあとなどには必ず手洗いが必要です。その際は、石けんをよく泡立て、手首まで十分に洗い、流水で30秒間ほどかけて洗い流しましょう。ノロウイルスはアルコール消毒剤が効きにくいので、石けんでしっかり手を洗うことが大切です。
【食事】
手づかみで食べられるもの(おにぎり、サンドイッチ、みかん、お菓子など)を摂取する場合は、ウイルスを体内に入れる原因になることがあります。食事直前に十分手洗いをする、感染者に症状があるうちは手づかみの食事は控えるなどの注意が必要です。
また、食器類にウイルスが付着することもあります。感染者が使用した食器は消毒(次亜塩素酸ナトリウムまたは熱湯)してから使用しましょう。また、症状が出ている期間は、使い捨ての皿やスプーンを使用することも有効です。
【掃除】
人の手が特に多く触れるドアノブや手すりは、次亜塩素酸ナトリウムで消毒しましょう。
特に、トイレの掃除は念入りに行います。便座や手が触れるレバーやスイッチ、ペーパーホルダー、ドアノブ、手すりなどは、次亜塩素酸ナトリウムで消毒します。
台所のシンクや、手洗い・うがいをする洗面所も汚染されやすい場所です。こまめに掃除や消毒を行いましょう。
【洗濯】
家族でタオルの共有は避けましょう。紙タオルの使用や、洗面所にハンドタオルを多めに積んでおいて1回使うごとに洗濯かごの中に入れるようにします。
監修
保健同人フロンティアメディカルチーム
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