Question

ノロウイルスから身を守るには?

先日、周囲でノロウイルスの感染がありました。手洗い以外に、感染から身を守るために知っておいたほうがいいことがあれば、アドバイスをお願いします。

女性/50代

2024/03/26

Answer

ノロウイルスは、ウイルス性胃腸炎を引き起こす原因ウイルスの1つです。毎年冬場に流行し、この病気に何度もかかる人もいます。その理由には以下のような点が挙げられます。


●感染の仕方が「複数」ある(ウイルスに汚染されたカキなどの二枚貝を加熱不十分なまま食べる、ウイルスが含まれた糞便や吐物が環境を汚染させることで起こるなど)。

●感染力が「非常に強い」(ノロウイルスの数が、わずか数個から100個程度でも感染する)。

●「長期間」の感染力がある(食品に付着したものは冷蔵庫の4℃では数カ月間、感染力が持続する)。

●「アルコールや熱に強い」など、不活化させることが容易ではない。

●遺伝子の異なるウイルスが多数存在する。

●糞便や吐物から大量に長期間ウイルスが排出され(症状が消えたあとも1週間~1カ月ほど続く)、下痢などの自覚症状がなくても感染しているとウイルスを便に排出することがある(不顕性感染)。

●抗体の持続時間が短い。


以上をふまえて、予防策を講じる際のポイントをお伝えします。具体的には、手洗い、食品の加熱、調理器具などの消毒を徹底することです。


●手洗い

手指に付着しているノロウイルスを減らす最も有効な方法。調理を行う前、食事前、トイレ後、下痢などの患者さんの汚物処理やオムツ交換などを行った後は(手袋をしていた場合も)必ず行う。爪を短く切り、指輪などを外し、指と指の間、指の腹、手首なども石けんを十分泡立て、念入りに手指を洗う。すすぎは流水で行い、清潔なタオルなどで拭く。石けんにはノロウイルスの活性を失わせる効果はないものの手の脂肪汚れなどを落とすことでウイルスを手指からはがれやすくする効果がある。消毒用エタノールでの手指消毒は手洗いの代わりにはならないが、手洗いができない場合などの手洗いの補助として用いる。

●食品の加熱

一般にウイルスは熱に弱く、加熱処理はウイルスの失活化には有効。ノロウイルスの汚染のおそれのある食品は一般的に、中心部が85~90℃で90秒以上の加熱がすすめられる。

●調理器具などの消毒

次亜塩素酸ナトリウム(家庭では塩素系漂白剤で代用可)や加熱による処理がある。調理器具等は洗剤などを使用し十分に洗浄した後、次亜塩素酸ナトリウム(塩素濃度200ppm)で浸すように拭く。まな板、包丁、食器、ふきん、タオルなどは85℃以上の熱湯で1分以上の加熱が有効。特に二枚貝などを取り扱うときは専用のまな板、包丁などを使用するか、調理器具を使用の都度洗浄し、熱湯消毒などを行い、二次汚染を防止に注意する。


また、吐物処理の際は二次感染を防ぐため、マスクや使い捨て手袋などを着用し、汚物はペーパータオルなどで処理します。汚れた衣類は、次亜塩素酸ナトリウムで消毒後、洗濯します。乾燥機を使うと殺菌効果が高まります。洗濯できないものは、乾燥後にスチームアイロンや布団乾燥機を使用すると効果があります(塩素系漂白剤などを使用する際は「使用上の注意」をご確認ください)。

回答者

保健同人フロンティアメディカルチーム

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