増えている梅毒 ~筋肉注射による新治療法が登場

最終編集日:2022/10/3

性感染症の1つである梅毒。2013年以降急激に感染が拡大し、2022年は過去最悪のペースで増加しているという報告もありました。もはや身近な性感染症となってしまった梅毒について、知っておきたい症状など、押さえておきましょう。


●どのような病気?

梅毒トレポネーマという細菌に感染することで起こる感染症です。おもに性的な接触により感染し、皮膚や粘膜が接触することで体内侵入し、全身の発疹やリンパ節の腫れなどの初期症状が現れます。


〈第1期〉

感染後1カ月。性器や肛門、口などの感染した場所に、しこり、できもの、ただれが起こることがあります。また、股の付け根のリンパ節が腫れることも。痛みがないことが多く、治療しなくても数週間で症状は消えてしまいます。


〈第2期〉

感染後3カ月。細菌が血液によって全身に運ばれ、手のひら、足の裏、からだ全体にうっすらと赤い「バラ疹」が出ることがあります。第1期と同様に、治療をしなくても数週間以内に消えてしまうのが特徴です。


梅毒は治療をしなくても、症状が消えてしまうことが特徴です。また、発疹をアレルギーなどと勘違いしてしまうこともあります。

しかし、症状が消えても自然に治るわけではありません。感染初期に適切な治療を受けられないと、数年〜10年後に皮膚、筋肉、骨などにゴムのような腫瘍が発生したり、脳、血管、心臓など複数の臓器に重い障害が現れ、死に至ることもあります。


●今年、新しい治療法が承認

病状により詳細は異なりますが、一般的に1カ月間のペニシリン系抗菌薬の内服が基本です。感染急増に対応すべく、2022年1月には新たに筋肉注射による治療が認められるようになりました。これまでの長期間の治療から、1回の注射で治療が終了できるようになったのです。

とはいえ、後期まで進行してしまうと障害を受けた臓器に後遺症が残ってしまう場合があります。また免疫はできないため、何度でも感染する可能性があります。梅毒にかからないよう、そして知らぬ間に他の人にうつさないよう、性行為時にはコンドームを着用することが推奨されます。特にオーラルセックスでもうつることがあるので、注意が必要です。


●保健所なら検査無料

医師による診察と血液検査で、梅毒の感染を判断します。クリニックや病院での検査も可能で、保健所なら無料・匿名で検査を受けることができます。抗体検査が確実に陽性になるのは感染が疑われる日から約6週間経ってからです。直後の検査で陰性であったからといって感染を否定することはできません。間をあけて再検査を受けるのが安心です。

一般的な健康診断の血液検査では、梅毒の判定まで行わないことがほとんどです。「健康診断を受けているから安心」とはいえないことを覚えておいてください。


※新型コロナウイルス感染症の影響で、性感染症検査の受付時間の変更や検査を中止している場合があります。詳しくは、各保健所に直接ご確認ください。

※2022年10月1日時点の内容です。

監修

すぎのこ皮ふ科クリニック 院長

石地尚興

この傷病に関連したQ&A

関連するキーワード

発疹
血液検査
抗体検査
性感染症
リンパの腫れ
本サービスに掲載される情報は、医師および医療専門職等の監修の元、制作しております。監修者一覧および元となる情報はこちらからご参照ください。
みんなの家庭の医学 アプリイメージ
アプリでも

みんなの家庭の医学

歩数ゲームやデイリーアドバイス、無料健康相談が利用可能

QRコード

※ご所属先が本サービスを契約いただいている場合のみご利用いただけます。