健康診断の心電図に気になる所見が……
去年と今年の健康診断結果で、心電図の所見に「不完全右脚ブロック」とありました。また、今年の健康診断では「R波増高不良」とも書かれています。ときどきに胸がズキンと痛むことがあり、病院に行ったほうがよいでしょうか?
男性/30代
2022/06/08
心臓は、左心房と左心室、右心房と右心室の4つの部屋に分かれています。心臓が心房、心室と交互に拍動するためには、心房から心室へ興奮が伝わる必要があり、興奮が伝導する経路の一部を右脚および左脚と呼びます。興奮の伝導が右脚や左脚で途絶えたときに「右脚ブロック」や「左脚ブロック」と診断されます。右脚はおもに右心室に広がっていて、1本の経路で長く走行しています。その一部は細いため、伝導途絶が起りやすく、右脚ブロックとなる場合が見受けられます。一般的には症状もなく、経過も悪くないので、様子をみてよいといわれます。「不完全右脚ブロック」は、右脚の電気の流れがわずかに不都合がありますが、伝導時間は正常範囲内に保たれ、問題のない状態とされ、健常者にも認められることがあります。
心電図は、体の表面から心臓の電気的活動を捉えたもので、P波は心房の収縮、QRS波は心室の収縮、T波は心室の弛緩を表しています。R波(上向きの幅の狭い波)は、胸の左側の電極のほうが、胸の真ん中付近の電極で記録したものよりも大きくなるのですが、胸の左側の電極と真ん中付近の電極の記録の大きさが、ほとんど変わらない場合を「R波増高不良」と呼びます。この部位の心電図で体表に向かう心臓の起電力が小さいことを表します。この部位に心筋梗塞などがあるとみられる現象ですが、そのほかに、やせなどの体格のためにみられ、健常者にもみられる現象です。
これらの検査所見について、医療機関を受診する必要があるかは、健康診断の判定区分の指示のとおりに対応することが大切です。精密検査や再検査などの医療機関の指示がなく、とくに説明がない場合は「経過をみてよいが所見はみられるため、結果欄に記載」という意味と思われます。
ただし、自覚症状として「胸がズキンと痛くなるときがある」とのことで、一度循環器科を受診し、痛みの原因として考えられることや今後の経過の見方について相談するとよいでしょう。その際、医師に症状を伝えるときは、痛みが起こった日時、どのようなときに痛みが起こるか、どのくらい続くか、どのような痛みか、痛みが起こる頻度、痛みに伴う別の症状があるかなどを伝えると、診断の助けとなります。また、これまでの健診結果も持参するとよいでしょう。
回答者
保健同人フロンティアメディカルチーム
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