ウィルムス腫瘍うぃるむすしゅよう
最終編集日:2025/12/20
概要
ウィルムス腫瘍は5歳以前の子どもに発症する腎臓の悪性腫瘍で、「腎芽腫」とも呼ばれます。ほとんどが片側の腎臓だけに発症します。治療成績は非常に良好で、現在では小児がんの中でも治癒率が高い部類に入ります。
原因
ウィルムス腫瘍の原因は、多くの場合、腎臓が形成される過程で起こる遺伝子の異常と考えられています。代表的なものとして、WT1遺伝子の変異などが知られています。ベックウィズ・ウィーデマン症候群、孤立性半側肥大症、ソトス症候群、WAGR症候群、デニス・ドラッシュ症候群などの疾患があると発症しやすいと考えられています。
症状
初期症状はほとんどなく、上腹部にしこりや張りが認められるだけです。進行すると腹痛や嘔吐、血尿などが現れます。
子どもの腹を触って、かたい球形の腫瘤が左右どちらかにあれば専門医の診察を受けたほうがよいでしょう。
検査・診断
ウィルムス腫瘍の診察では、まず超音波(エコー)検査を行って腫瘍を確認します。腫瘍の大きさや周囲への広がり具合などはCT検査、MRI検査で確認します。
確定診断には、腫瘍の一部を採取する病理組織検査が行われます。ほかの腫瘍などとの区別をするために腫瘍マーカー検査を行うこともあります。これらの結果に基づき、治療方針を決める病期(ステージ)が決定します。
治療
一般には、外科による手術療法と抗がん剤による化学療法が並行して行われます。症状によっては放射線療法が行われることもあります。
手術は腎摘出術、つまり片側の腎臓ごと腫瘍を摘出する方法がとられます。ただし、両側の腎臓に腫瘍がある場合や、腫瘍が小さく腎機能の温存が重要であると判断された場合は、腎温存手術(腫瘍のみを摘出して正常な腎組織をできるだけ残す方法)が選択されることもあります。
化学療法には手術前に行う術前化学療法と、手術後の再発を極力防ぐために行う術後化学療法があり、腫瘍の大きさや周囲への広がり、患者の状態などを考慮して選択されます。
セルフケア
病後
ウィルムス腫瘍は子どもに発症し、ほとんどの患者が片側の腎臓を摘出することになります。そのため再発の危険性だけでなく、残った腎臓の機能が十分に保たれているか、合併症は起こっていないかなどを長期的に確認していく必要性があります。定期的な診察と検査を怠らないようにしましょう。ウィルムス腫瘍は小児がんの中でも治療成績が非常に良好な部類に入り、現在では90%近い患者が治癒するとされています。治療法の進歩により、治癒率はさらに改善傾向にあります。
監修
医療法人つばさ会高座渋谷つばさクリニック
武井智昭