小児がん
しょうにがん

最終編集日:2025/12/19

概要

小児がんとは、15歳未満の子どもがかかるがんの総称です。小児期に発症する特徴的な白血病や腫瘍疾患の発症のピークは4〜5歳で、15歳を過ぎるとほとんど発症することがなくなるため、15歳未満という基準が設けられています。

おもな小児がんには、白血病、悪性リンパ腫、脳腫瘍、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、ウィルムス腫瘍などがあります。大人に多い大腸がん、肺がん、胃がんなどはほとんど発症しません。小児がんの中でもっとも多いのは白血病です。

原因

小児がんの発症原因は大人のがんとは異なり、遺伝的要因や、出生前に発生する遺伝子の突然変異なども原因と考えられています。近年、遺伝子の異常に関する研究は進んでいます。

症状

初期の小児がんにはあまり特別な症状は現れないため、症状が現れたときにはすでに進行しているケースが多くみられます。

全身症状としては、発熱、体重減少、吐き気、頭痛、骨や関節の痛み、寝汗、リンパ節の腫れ、腹部膨満などがあります。

白血病や悪性リンパ腫など血液のがんのおもな症状は、貧血、顔面蒼白、出血斑、血小板の減少などです。

眼科の症状としては、白色瞳孔、視力低下、眼球運動の異常、眼瞼下垂、眼球突出などがあります。

検査・診断

小児がんは種類が多く、発生部位もさまざまなため、症状に応じた検査や診断が行われます。また、症状が現れたときには進行しているケースが多いため、診断は迅速に行う必要があります。

採血による血液検査や採尿による生化学検査に加え、腫瘍マーカー検査が行われることもあります。

さらに、確定診断のために採取した組織や細胞に対する病理検査や遺伝子検査(分子診断)が重要となるなど、さまざまな検査が行われています。

腫瘍が見つかればその部位のX線検査、超音波検査、CT検査、MRI検査、PET検査などを行い、進行度や転移の有無を評価、そして生検が実施されます。


治療

小児がんの治療では、それぞれの特性に合わせて手術療法、化学療法(抗がん剤治療)、放射線療法を組み合わせた集学的治療が標準です。近年は、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬(一部の小児がん)、CAR-T細胞療法(白血病など)などの新規治療法も導入され、治療成績が向上しています。

小児がんは希少がんであり、質の高い医療を提供するため、専門のチーム(医師、看護師、薬剤師、心理士など)がいる、小児がん拠点病院や協力病院などの専門施設で治療が行われます。

セルフケア

療養中

小児がんは入院して治療を行うケースがほとんどです。患者である子どもはもちろん、周囲の大人も不自由や忍耐を求められる生活になります。医師の指導に従い、できるだけ前向きに毎日を過ごすことが大切です。

病後

大人と違って、子どもは成長過程にあります。治療が終わり治癒したようにみえても、がんの再発があるかどうかだけでなく、手術や抗がん剤、放射線治療の影響がどのように現れるかわかりません。定期的に医療機関を受診し、からだの成長度合いやさまざまな機能が、年齢相応に発育しているかをしっかり確認していくことが大切です。治療後の子どもは、晩期合併症(治療の影響で数年~数十年後に現れる健康上の問題)のリスクがあるため、がんの再発の有無だけでなく、身体的・精神的な成長度合いや各臓器の機能を長期にわたって確認していくことが重要です。

Xで送る
LINEで送る
Facebookで送る
URLをコピー

監修

医療法人つばさ会高座渋谷つばさクリニック

武井智昭