悪性リンパ腫 <子ども>あくせいりんぱしゅ・こども
最終編集日:2026/1/5
概要
悪性リンパ腫とは、細菌やウイルスなどの病原体から体を守る役割を担う、白血球の一種であるリンパ球が、がん化して増える病気です。多くの場合はリンパ節に病変が生じ、痛みのないリンパ節の腫れとして気づきますが、胸の中(縦隔)や消化管、皮膚など、リンパ節以外の場所から発生することもあります。
悪性リンパ腫は、ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫に大きく分けられ、小児では非ホジキンリンパ腫がほとんどを占めます。非ホジキンリンパ腫の中では、バーキットリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、リンパ芽球性リンパ腫、未分化大細胞型リンパ腫といった病型が多く、小児の悪性リンパ腫の大部分を占めています。
小児の悪性リンパ腫は、小児がん全体のおよそ1割を占め、小児人口10万人あたり約1人の割合で発症するとされています。乳幼児よりも年長児や思春期の子どもに多い傾向があります。
原因
多くの悪性リンパ腫の発症原因については明らかになっていません。ただし、一部の病型にはウイルス感染が関係していることがわかっています。
症状
痛みを伴わないリンパ節の腫れ、原因不明の発熱、体重減少、過剰な寝汗などがみられます。おなかの中に病変ができた場合には、腹部が張った感じや食欲低下、腹痛などを訴えることがあります。また、胸の中で病変が大きくなると、気管や血管が圧迫され、息苦しさや咳、顔や首のむくみなどがみられることもあります。このような症状が急に現れた場合は、早めの受診が重要です。
検査・診断
悪性リンパ腫の診断では、どのタイプのリンパ腫であるかを正確に調べることが重要です。そのため、腫れているリンパ節や病変の一部を採取する生検を行い、顕微鏡で詳しく調べる病理組織診断が行われます。近年では、リンパ腫細胞の性質をより詳しく調べる検査(遺伝子検査など)も進歩し、治療方針の決定に役立っています。
さらに、超音波検査やCT検査、PET-CT検査などの画像検査を行い、病変が体のどこにどの程度広がっているかを確認し、病気の進行の程度を総合的に評価します。
治療
小児の悪性リンパ腫では、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫のいずれにおいても、複数の抗がん剤を組み合わせた多剤併用化学療法が治療の中心となります。病変が限られている場合には、90%以上の高い治癒率が期待でき、進行している場合でも、70〜90%程度の治癒が報告されています。
近年では、従来の抗がん剤治療に加えて、リンパ腫細胞の性質を標的とした分子標的薬や免疫を利用した治療が取り入れられるようになり、治療成績の向上が図られています。
セルフケア
病後
治療中・治療直後は、抗がん剤の影響で免疫力が低下しやすいため、手洗いやうがい、マスクの着用など、感染症を予防するための対策が重要です。体調の変化に気づいた場合は、早めに医師に相談することが大切です。
治療が終了した後も、定期的な通院による経過観察が必要となります。小児では成長や発達への影響を考慮する必要があり、治療から長い時間が経過した後に副作用が現れることもあるため、長期にわたるフォローアップが行われます。
監修
東海大学 医学部血液腫瘍内科 教授
川田浩志