非淋菌性尿道炎
ひりんきんせいにょうどうえん

最終編集日:2023/8/23

概要

膀胱から尿の排泄口までをつなぐ「尿道」に、細菌などが感染して起こる病気を尿道炎といいます。そのうち、淋菌が原因でないものを「非淋菌性尿道炎」と呼びます。女性では尿道炎の症状のほかに、腟への感染による症状も多くみられます。いずれも性感染症に分類されます。

原因

セックスやオーラルセックスで感染します。

原因微生物として、クラミジア・トラコマチス(細菌)がもっとも多く、ついでマイコプラズマ・ジェニタリウム(細菌)、腟トリコモナス原虫(原虫)、ウレアプラズマ・ウレアリチカム(細菌)、アデノウイルス(ウイルス)などが挙げられます。非淋菌性尿道炎という場合、クラミジア、マイコプラズマ、ウレアプラズマによるものを指すことが多いようです。オーラルセックスでは、のどに感染するアデノウイルスなどが原因となることがあります。

症状

●男性……排尿時の違和感・痛み、ペニスや尿道の痛み・かゆみ、尿道口からの漿液性の分泌物(さらっとした水のような液体)、尿道口からうみが出るなどが現れます。


●女性……無症状であることが少なくありません。症状としては、排尿痛、おりものの増加、不正出血などがみられます。尿道よりも腟への感染が多くみられます。


男性・女性ともに、のどへの感染の場合は、のどの痛み・違和感、せきなどが現れます。

クラミジアでは、潜伏期間は1~3週間、マイコプラズマ、ウレアプラズマは3日から5週間とバラつきがあります。

検査・診断

尿検査を行い、原因微生物の特定を行います。

2022年6月より、マイコプラズマ・ジェニタリウムと、トリコモナス・バジナリスの2種のPCR(検出)検査が保険適用となりました。そのため現在は、淋菌・クラミジア・マイコプラズマ・トリコモナスの4種が保険診療で検査できます。

なお、ウレアプラズマの検出検査は保険適用になっていないため、淋菌・クラミジア・マイコプラズマ・トリコモナスがいずれも検出されない場合に、ウレアプラズマを疑うことになります。ただし、自費での検査は受けられます。

治療

2022年6月にマイコプラズマ・ジェニタリウム検査法が使用可能となったことを踏まえ、日本性感染症学会は、非淋菌性尿道炎の治療について、以下の流れを推奨しています。


①問診(潜伏期)や自覚症状などで淋菌性尿道炎が否定された場合、または非淋菌性尿道炎を強く疑った場合、クラミジア・トラコマチスとマイコプラズマ・ジェニタリウムのPCR検査とともにクラミジア性尿道炎の第一選択薬(アジスロマイシン)を使用。

②1〜2週間後の再診で、マイコプラズマ・ジェニタリウムが陽性だった場合、シタフロキサシン(7日間内服)やドキシサイクリン(7日間内服)を行う。

③1〜2週間後の再診で、治癒を確認する。

セルフケア

予防

セックスでもオーラルセックスでも、コンドームを用いれば、感染リスクを下げることができます。男性の場合は、放置すると精巣、精嚢(のう)、前立腺と上部の臓器に感染が広がり、男性不妊の原因ともなります。女性の場合は、感染を放置していると、不妊症や流産・早産のリスクが高くなります。また、ウレアプラズマは、妊娠時に感染していると胎児への影響があるともいわれます。症状がある場合や、感染を疑う不安がある場合には、泌尿器科を受診して検査を受けましょう。

監修

しみず巴クリニック 腎臓内科

吉田顕子

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