アセトン血性嘔吐症あせとんけっせいおうとしょう
最終編集日:2023/3/23
概要
アセトン血性嘔吐症(ケトン血性低血糖症)は、かつて「自家中毒」「周期性嘔吐症」と呼ばれていた病気です。2~10歳の小児に起こり、男児に好発します。年齢が上がるとともに、発症の頻度は減っていきます。
原因
何らかの理由で体内の糖質(グルコース)が不足すると、代わりに脂肪を分解してエネルギーとして使用します。この際、分解で生じるアセトン(あるいはケトン体。アセトンはケトン体のひとつ)が血液中に増えてしまい、嘔吐をひき起こします。同時に糖質不足で低血糖状態になります。
なぜこのような状態に陥るかは、明らかになっていません。脳と消化管の連携の異常、ホルモン産生の異常、遺伝的要素などが関与すると考えられています。
発症しやすい子どもの特徴として、神経質、頭痛をくり返す、やせ型、低出生体重児などが挙げられます。症状が起こるきっかけとしては、かぜやインフルエンザなどの感染症の罹患後、精神的ストレス、緊張を伴うイベント(試験や遠足、発表会など)の前、乗り物酔い、過剰な運動、食事を十分にとらない、などがあります。
症状
嘔吐をくり返し、吐瀉物には胆汁や血液が混ざることもあります。アセトン臭(甘酸っぱいリンゴの熟したようなにおい)のある口臭が特徴的です。食欲不振、発汗、腹痛、下痢、倦怠感・脱力感などを訴え、顔面蒼白になってぐったりしてしまいます。
症状は通常、数時間から1、2日で治まりますが、何度もくり返します。頻度は週単位、月単位など、個人差があります。
検査・診断
問診からこの病気が疑われる場合は、尿検査、血液検査で尿中ケトン体値や低血糖の状態を調べます。ケトン体値が高いことと、問診結果から診断がつけられます。
糖尿病や甲状腺機能亢進症など、ケトン体値が高くなるほかの病気との鑑別が必要です。
治療
この病気に特化した治療法はありません。吐き気止めや鎮痛薬などを用いた対症療法を行い、脱水を起こしている場合はブドウ糖を点滴します。症状が強い場合は入院加療が必要になることもあります。
セルフケア
予防
空腹で血糖値が下がると発症しやすくなるため、食事を抜かない、間隔を空けないようにします。また過度なストレスを避け、睡眠や休養を十分にとることも大切です。高脂肪の食材やチョコレートは発症を促すと考えられているので、過度にとらないようにしましょう。
強い症状に不安になりますが、予後のよい病気です。成長すれば発作は起こらなくなることを本人に説明するなどして、周囲はあまり神経質にならないようにサポートしましょう。
監修
鳥居内科クリニック 院長
鳥居明
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