リンパ管炎
りんぱかんえん

最終編集日:2022/3/30

概要

リンパ液の流れているリンパ管やその周りの組織が炎症を起こす病気を、リンパ管炎といいます。リンパ管炎には、急性リンパ管炎と慢性リンパ管炎の2つがあります。

急性リンパ管炎は、おもに足や腕の傷口からの細菌感染、慢性リンパ管炎は、真菌(カビの仲間の総称)感染が原因となって生じることが多いです。どちらの場合も、発症すると皮膚が赤くなって痛みが生じたり、発熱をひき起こしたりします。


原因

急性リンパ管炎は、おもにレンサ球菌、ブドウ球菌などといった細菌が、腕や足などの傷口から入り込むことで発症します。

慢性リンパ管炎は、空気中や土壌に存在している真菌の感染によることが多いです。


症状

リンパ管に沿って、皮膚に数mmから数㎝のスジ状の赤い線が現れるのが特徴です。その周囲に熱を発し、押すと痛みを感じることもあります。

このほか、発熱、悪寒、リンパ腺の腫れ、食欲不振、頭痛などの症状がみられることもあります。また、蜂窩織炎(ほうかしきえん)と呼ばれる皮膚の感染症や皮膚潰瘍・壊死などに進行する危険性もあるので、注意が必要です。


検査・診断

問診のほか、視診や触診により全身症状を診察して診断します。血液検査も行う場合があり、リンパ管炎であれば白血球の数の増加がみられます。炎症部位の生検(組織の一部を採取すること)や血液培養を行って、原因菌を特定することもあります。

治療

原因菌となるブドウ球菌やレンサ球菌などに対する効果が期待できる抗生物質(抗菌薬)を投与します。また、皮膚の外傷をきっかけとして発症するケースが多いので、傷口の治療も同時に行います。真菌が原因と考えられる場合には、抗真菌薬の投与を行います。

セルフケア

療養中

炎症を起こしている場所を動かすと、悪化する恐れがあるため、患部の安静を心がけましょう。

監修

東海大学 医学部血液腫瘍内科 教授

川田浩志

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