乳汁漏

にゅうじゅうろう

最終編集日:2023/8/25

概要

妊娠時、産褥期(さんじょくき)など、乳汁が分泌される時期以外に、乳頭から液体が分泌される状態を指します。乳汁の分泌にはプロラクチン(PRL)という、脳の下垂体から分泌されるホルモンがかかわっています。PRLの分泌が何らかの原因で過剰になった「高プロラクチン血症」になり、その結果、乳汁が分泌されてしまいます。

女性だけでなく、男性にも起こります。1998年の推定患者数は1万2400人、好発期は男性が20~60代、女性が20~40代で、男女比は1:3~4とされています。

背後には、内分泌の異常や腫瘍の存在が考えられます。女性では、無月経を伴うことが多いため「無月経・乳汁漏症候群」と呼ばれることもあります。

原因

高プロラクチン血症の原因として、薬剤性、PRL産生下垂体腺腫(プロラクチノーマ)、視床下部や下垂体の機能異常、甲状腺機能低下症などが考えられます。

もっとも頻度が高いのは薬剤性で、抗ドパミン作用のある薬剤(抗うつ薬、抗精神病薬、降圧薬、胃潰瘍治療薬、経口避妊薬など)の服用でひきおこされます。プロラクチノーマが約30%を占め、厚生労働省の指定難病となっています。プロラクチノーマが発生する原因は明らかになっていません。

症状

乳汁の分泌がみられます。目で見てわかる場合もあれば、下着につく程度で気づきにくい場合もあります。そのほかに、女性では無月経や黄体機能不全を、男性では性欲の減退を伴います。男女ともに放置すると、不妊につながるとされています。

プロラクチノーマが原因で、腫瘍が大きくなった場合、頭痛、視力・視野障害がみられることもあります。

検査・診断

血中プロラクチン値をみることで診断がつけられます。血中プロラクチン値は6.1~30.5ng/mLが基準とされています。ストレスなどで値が左右されるため、複数回測定し、高プロラクチン血症と確定診断します。そのほか、下垂体ホルモン、女性ホルモン、甲状腺ホルモンなどの値も調べます。原因を探るために、服用中の薬剤の確認、脳の造影MRI検査による下垂体の画像診断などが行われます。

治療

原因によって、次のような治療が行われます。


●薬剤性

原因と考えられる薬剤の服薬を中断します。しかし、病気によっては服薬中断が不可能な場合もあるため、慎重に判断されます。


●プロラクチノーマ

治療の第一選択は、PRL分泌を抑制する効果をもつ、ドパミンD2受容体作動薬による薬物療法です。血中PRL値の改善とともに乳汁漏や無月経、性欲減退などの症状が改善され、腫瘍の縮小効果も期待できます。効果がみられない場合や副作用(悪心、嘔吐、めまい、起立性低血圧など)が強くて服薬を継続できない場合は、手術による腫瘍の摘出が考慮されます。ドパミンD2受容体作動薬を2年以上服用し、腫瘍が消失して血中プロラクチン値が正常になれば、服用をやめることができます。

なお、腫瘍が1cm以下で小さい場合には、経過観察を行うこともあります。


●甲状腺機能低下症

甲状腺ホルモン補充療法を行います。

セルフケア

予防

ピルの長期服用などによる下垂体腺腫によるプロラクチン分泌の増加、乳汁分泌などの場合は、原因を断つことによって症状が治まることも多く、経過をみることが大切です。

監修

小山嵩夫クリニック 院長

小山嵩夫

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