濾胞がん
ろほうがん

最終編集日:2022/3/15

概要

濾胞がんは、のどぼとけのあたりにある、ホルモンを分泌する甲状腺にできるがんのひとつです。

甲状腺がんには、乳頭がん、未分化がん、髄様がんなどがありますが、濾胞がんは2番目に多く、甲状腺がんに占める割合は5%ほどです。発生時期に大きな年代差はありませんが、女性に多い傾向があります。初期症状は首にしこりを感じる程度です。多くの濾胞がんは進行が非常にゆっくりですが、進行が速く予後が悪いケースもありますので注意が必要です。

原因

濾胞がんは、ほかのがんと同様に原因を特定することのむずかしいがんです。

症状

初期の全身症状は少なく、首にしこりを感じる程度です。そのためしこりが大きくなるか、別の不調が現れない限り気づくことがむずかしいがんです。リンパ節などへの転移は乳頭がんと比較して少ないものの、血流に乗って肺や骨など離れた臓器への遠隔転移を起こしやすい傾向があります。一般的に濾胞がんは甲状腺の切除手術などによって治りやすいがんですが、遠隔転移をすると治療がむずかしくなります。

検査・診断

触診では確定しにくいため、頸部の超音波検査が有用です。補助的に血液検査も行います。ほかにも頸部CT検査やMRI検査、骨シンチグラフィ検査などが必要になることもあります。

診断の確定には、細胞診(患部の腫瘤に細い針を刺し細胞の一部を取り出して行う検査)が必要です。ただし、手術前に良性か悪性かの判別はむずかしく、最終的な診断は手術で腫瘍部を摘出し病理組織検査を行ったうえで確定されることが多いようです。


治療

濾胞がんの治療は原則、摘出手術で、ほかのがんにくらべて摘出しやすいといえます。肺や骨などほかの臓器に転移している場合は、甲状腺の全摘手術を行ったうえで「放射性ヨウ素治療」を行います。ただし転移をしていると根治はむずかしく、加えて放射線治療や転移した部位の切除手術を行う場合もあります。

また従来の抗がん剤治療のほか、新たに分子標的治療薬を使った治療も行われるようになりました。


セルフケア

予防

濾胞がんに絞ったセルフケアはありません。一般的ながん予防法である禁煙、節度のある飲酒、バランスのよい食事、適度な運動、適正な体重維持、感染予防などが効果的と考えられます。

自覚症状がない段階で、健康診断などで行われる頸部の超音波検査やPET検査などで発見されるケースが増えています。


監修

寺下医学事務所 医学博士

寺下謙三

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