副腎がん
ふくじんがん

最終編集日:2021/12/21

概要

副腎皮質内の細胞から発生した悪性腫瘍で、副腎皮質がんとも呼ばれます。良性の副腎腫瘍が悪性化して副腎がんに変化することはありません。

非常に発症頻度が少ないがんで、罹患率は100万人あたり2人程度です。性別では、女性は男性の1.5~3倍罹患しやすい傾向があります。

副腎がんは進行スピードが速く、気がついたときには悪化しているケースが多くみられます。腹部の張りや痛み、原因不明の吐き気や食欲不振などの症状が現れたときは、早めに専門医を受診することが重要です。また、副腎髄質から発生する悪性褐色細胞腫もあり、難治性の高血圧により発見されることがあります。

原因

副腎がんは非常に珍しいがんで、なぜ副腎に腫瘍ができるのか、その原因はほとんど解明されていません。ただし褐色細胞腫の一部は、RET遺伝子と呼ばれるがん遺伝子の異常が原因で発症することがあるとわかっています。そのため特定の遺伝性疾患のある人は、副腎皮質がんのリスクが高くなるといわれています。

症状

副腎がん特有の症状はなく、がんの進行によって、腹痛、腹部のしこり、便秘、発熱、吐き気、食欲不振など、ほかの病気でもみられる症状が起こります。

検査・診断

進行度の早い副腎がんは周囲の臓器などへの浸潤(しみ込むように広がる)も多くみられるため、がんが発見されたときにはすでに進行しているケースが少なくありません。

副腎は周囲を臓器や肋骨に守られたからだの奥深くに位置しているため、大きな腫瘍でなければ表面から触れての判別はできません。高血圧や高血糖、腹部の張りや痛み、便秘などで医療機関を受診し検査をしてはじめて判明するケースがほとんどです。

副腎がんの疑いがある場合、血液検査や尿検査でホルモンの状態を調べます。CT検査では、腫瘍の性質や大きさ、リンパ節転移や肺・肝転移の有無を調べ、MRI検査では、CT検査では診断が困難な腫瘍と副腎がんの識別をし、周囲の組織への浸潤具合も診断します。副腎の腫瘍を放射性の医薬品を使ってくわしく調べるRI検査を行う場合もあります。

治療

副腎がんは、手術療法がもっとも有効な治療法とされています。遠隔転移がなく、腫瘍の広がりを調べ、完全に切除できる場合には手術療法を行います。手術ができない場合は抗がん剤による化学療法が選択されます。

副腎がんは、ステージⅢ期までが手術適応で、小さな腫瘍であれば腹に数カ所穴を開けて内視鏡で行う腹腔鏡手術が選ばれます。腹腔鏡手術が困難な場合は開腹手術で腫瘍を摘出します。副腎がんの治療では、手術で腫瘍を完全に摘出することが非常に重要です。完全に切除できた場合は予後の改善が期待できます。

Ⅳ期で手術不適応と判断された場合でも、抗がん剤による化学療法によって腫瘍を小さくしてから切除手術を行うケースもあります。

副腎でつくられるホルモンの影響により、抗がん剤でのコントロールがむずかしい場合は手術が検討されることがあります。

監修

寺下医学事務所医学博士

寺下謙三

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