子どもの家庭内事故 つまる(誤飲)編 ~知っておくべきこととは?

最終編集日:2022/8/12

●誤飲しやすいのは大人用の錠剤などの薬

当センターの調査によると、子どもの誤飲で多いのは薬で、1歳頃の乳児が誤飲するケースが多くなっています。両親や祖父母など大人用の錠剤を、子どもが飲んでしまうことが多く、手が届かないだろうと思っていたら届いてしまった、引き出しの中にしまっておいたものを取り出して飲まれてしまった、という例があります。

子どもの誤飲に気づいた場合、受診することが望ましいのですが、特にぐったりしている、反応が鈍い、あるいは何度も吐いている場合などは早めに受診すべきです。


●注意すべきは、1錠でも危険な薬、長時間作用が継続する薬

薬の中でもワン・ピル・キャン・キル(One Pill Can Kill)といって、子どもが間違って1錠でも飲んでしまったら命の危険がある種類のものがいくつか指定されています。そういった薬を誤飲してしまった場合、そのときは元気そうでも受診をして、血圧を測ったり、血液検査をしたり、場合によっては入院して経過をみる必要がある場合もあります。具体的には、糖尿病の人に処方される血糖値を下げる薬や、血圧を下げる薬などです。

また、最近では1日1回の内服で済むなど、頻度を減らして長時間作用する薬剤もあります。飲んでから半日後やそれ以降まで作用が継続する薬もあり、元気そうだから受診しなくてよいという判断をすると危険です。残っていた容器などから、薬がそうした種類のものかを医師が確認できるよう、受診の際にパッケージなどを持参することも重要です。


●有効な予防策とは?

子どもの誤飲については、2008年にWHO(世界保健機関)が発表したステートメントの中毒という単元において、危険な薬品などは子どもの手が届かないところに収納すること、薬品などの容器を子どもが開けにくいチャイルド・レジスタント(Child Resistant)仕様にすることが有効な予防策になるということが書かれています。

チャイルド・レジスタントとは、薬などの容器のふたなどが、ただ回しても開かないなどの工夫がされているもので、海外ではかなり普及していますが、実施にはコストがかかることや、日本での慣例的な処方薬の提供文化(紙袋などが使われる)があるため、進んでいないのが現状です。また、そうした容器での提供になると、今度は高齢者が容易に薬を開けられなくなるという懸念もあり、日本で浸透することは難しいのではないかと思っています。

監修

国立成育医療研究センター 救急診療科 診療部長

植松悟子

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