閉経関連尿路生殖器症候群 (GSM)の症状と予防法
最終編集日:2023/11/2
閉経後に女性ホルモンが減少することで生じる閉経関連尿路生殖器症候群(GSM)。聞き慣れない言葉かもしれませんが、閉経後の女性の半数に症状が出現するといわれているほど、とても身近な病気です。
●閉経後の女性の生活の質を低下させるGSM
GSMは、2014年に国際女性性機能学会などが提唱した新しい中高年女性の病気の概念です。閉経後にフェムゾーン(腟と外陰部)のかゆみや乾燥、性交時の痛みなどに悩む女性は少なくありません。ただ、こうした症状は「萎縮性腟炎」「老人性腟炎」と呼ばれ、加齢に伴う仕方のない症状のように扱われてきました。しかし、閉経後の女性の生活の質を低下させないために、これらの症状に対する適切なケアや治療の必要性が認識されるようになり、GSMという概念が生まれました。
●フェムゾーンの乾燥、セックスや排尿のトラブルに注意
卵巣から分泌される女性ホルモン(エストロゲン)量は、閉経後にピーク時の30歳ごろと比べ、10分の1程度まで減少します。それに伴って腟と外陰部の萎縮変化が起こり、さまざまな症状が生じます。これがGSMで、だいたい閉経から3〜5年ほどで起こります。大きく分けると3つの症状があります。
① 腟や外陰部の乾燥・違和感(かゆみ、痛み、イガイガ感、灼熱感など)
② セックスのトラブル(潤い不足、痛み、不快感、出血、性欲低下など)
●「フェムゾーンの保湿」と「骨盤底筋トレーニング」が効果的
GSMの予防、および症状が軽い場合のケアとしては「フェムゾーンの保湿」と「骨盤底筋トレーニング」が効果的です。まず保湿ですが、顔や手足などと同様にフェムゾーンも保湿が必要です。問題なく使っているボディ用の保湿剤(クリーム、ローションなど)があれば、入浴後のボディのお手入れのときに外陰部にも塗るとよいでしょう。フェムゾーンが敏感になっている場合はフェムゾーン専用の美容液やクリームなどもあります。セックスのトラブルに対しては、潤滑ゼリーなどを使用すると潤い不足が補われ、痛みや不快感が軽減します。
骨盤底筋トレーニングとは、膀胱や子宮、直腸などの骨盤内臓器を支えている骨盤底筋という筋肉を鍛える訓練法で、頻尿や尿もれの予防・対策に役立つほか、フェムゾーンの血流をよくする効果も期待できます。トレーニングの方法はいろいろありますが、おおむね共通しているのは、肛門や腟を締めたり緩めたりすることで骨盤底筋を動かすことです。
<骨盤底筋トレーニングの一例>
① 軽く足を開いて立つ。
② 肛門と腟をキュッと締めて5秒間キープ(からだの中に引き込むような感覚で)。
③ 緩めて、また締める。これを20回ずつ、1日2回を目安に行う。
こうしたケアを続けても効果がない場合や、すでに症状に悩まされている場合は、婦人科や女性泌尿器科などを受診しましょう。女性ホルモンが配合された塗り薬や腟座薬、レーザー治療、看護師や理学療法士などによる骨盤底筋トレーニングの指導など、さまざまな治療の手立てがあります。
監修
女性医療クリニック・LUNAグループ理事長
関口由紀
この傷病に関連したQ&A
関連するキーワード
みんなの
歩数ゲームやデイリーアドバイス、無料健康相談※が利用可能
※ご所属先が本サービスを契約いただいている場合のみご利用いただけます。