働き世代のプレフレイルの増加 〜虚弱の若年齢化
最終編集日:2023/10/2
今年、日本生活習慣病予防協会が行った「フレイル」と「プレフレイル」の実態調査から、働き世代(20〜65歳、特に40歳以降)にプレフレイルが増加する実態が浮かび上がりました。
●フレイルは要介護予備群、プレフレイルはフレイル予備群
「フレイル(虚弱)」とは、加齢に伴って筋力や心身の活力が低下し、介護が必要になりやすい状態。つまり健康と要介護の間の虚弱な状態のことをいいます。「要介護予備群」と呼ばれることもあります。フレイルの一歩手前の状態は「プレフレイル(フレイル予備群)」と呼ばれています。
超高齢社会を迎えている日本の喫緊の課題であるフレイルに焦点を当て、働き世代のフレイルおよびプレフレイルのリスクについて、日本生活習慣病予防協会で実態調査が行われました。調査は2023年3〜4月に内科医・産業医・整形外科医(各110人、合計330人)を対象に行われ、日頃接している患者さんの様子を回答してもらいました。
●プレフレイルは40代以降で男女ともに急増
調査の結果、医師の75.5%が「働き世代でプレフレイルが増加している」と回答しました。しかも、40代以降で男女ともにプレフレイルが急増し、40代で男女ともに約4割、50代で男女ともに5割超えという実態も浮かび上がりました。
働き世代でプレフレイルが増加している要因として医師たちが上位に挙げたのは「運動量の低下」「栄養素バランスの乱れ」「うつ傾向」「睡眠の質・量の低下」でした。思い当たる人も多いのではないでしょうか。さらに、医師の85.5%は「プレフレイル予防は働き世代から予防が必要」とし、できるだけ若い時期から開始すべきと指摘しています。
●運動による筋肉量維持、睡眠、栄養がプレフレイル予防のカギ
では、どのようにプレフレイル予防をすればよいのでしょうか。医師たちがこぞって挙げたのは、運動を習慣化し、運動による「筋肉量維持」を図ること、そして「十分な睡眠」と「栄養バランス」でした。プレフレイルを予防するためにとりたい栄養素のトップは、たんぱく質、次いでビタミン、アミノ酸、カルシウムが続き、亜鉛や食物繊維、鉄分なども上位に並びました。
こうした指摘をぜひ、日々の生活に反映させていきたいものです。その積み重ねがプレフレイルやフレイルを遠ざけ、健康寿命を延ばすことにつながっていきます。
監修
東京慈恵会医科大学付属柏病院 病院長・教授、一般社団法人 日本生活習慣病予防協会 理事
吉田 博
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