年末年始の暴飲暴食は要注意!「急性膵炎」とは
最終編集日:2025/12/15
急性膵炎は、突然、膵臓に炎症が起こって強い痛みを生じる病気です。炎症を引き起こすのはウイルスや細菌ではなく、膵臓が分泌している消化酵素で、これが膵臓自体を消化してしまうことで炎症が起こります。暴飲暴食が発症の引き金になることが多く、宴会シーズンの年末年始に注意が必要な病気です。
●膵臓の役割と急性膵炎を起こす原因とは
膵臓は、胃の後ろにある横に細長い形の全長10〜15㎝の臓器で、消化液である膵液と、血糖値を調整するホルモン(インスリンなど)を分泌しています。膵液は膵管を通って十二指腸に流れ、そこで活性化して食べ物の消化を助けます。ところが、なんらかの原因で膵管からの流れが悪くなると、そこで消化酵素が活性化し、膵臓そのものや周囲の組織や臓器などを傷つけて炎症が起こります。これが急性膵炎です。
患者の男女比は2対1で男性のほうが多く、男性は60代、女性は70代が多い傾向にあります。
急性膵炎の主な原因は飲酒(アルコール性)と胆石(胆石性)で、男性はアルコール性、女性は胆石性が多いとされています。アルコール性急性膵炎は、アルコールの飲みすぎによって膵臓に負担がかかることで起こります。一方、胆石性急性膵炎は、胆石が膵液の通り道をふさぐことで膵液が膵臓内を逆流して起こります。このほか、脂肪分の多い食事、薬の副作用、脂質異常症などが原因になることもありますが、原因が特定できない特発性急性膵炎もあります。
●急性膵炎の症状と治療について
急性膵炎の主な症状は、上腹部(みぞおち付近)に急に生じる強い痛みで、背中まで痛くなることもあります。持続する痛みは、立っていられず、体を丸めるようにしてしゃがみこむ人もいるほど強いものです。吐き気や嘔吐、発熱、腹部膨満感などを伴うこともあります。このような症状があれば、すぐに医療機関を受診する必要があります。痛みが激しければ、救急車を呼びましょう(迷うときは「♯7119」に電話して相談)。
急性膵炎は、血液検査で消化酵素の値を測定し、画像検査(超音波、CT、MRI)で膵臓の状態を確認することで診断がつきます。急性膵炎と診断されれば、基本的に入院して治療することになります。輸液と鎮痛を中心に、48時間以内では早期経腸栄養が推奨されています。また、胆石が原因であればその治療を行います。軽症なら1週間程度で回復しますが、重症化すると膵臓や周囲の臓器が壊死し、命に関わることもあります。
●予防のポイントはアルコールや脂っこい食事を大量に摂取しないこと
年末年始に急性膵炎が増えるのは、宴会などで飲酒をする機会が増えるうえ、普段以上に脂っこい料理を食べるといったことが重なって膵臓に負担をかけるためとみられています。逆にいえば、こういった行動を控えれば、急性膵炎を予防することは可能です。大量のアルコールを飲んだり、長時間飲み続けたりといった飲酒行動を避け、脂っこい料理を食べすぎないように注意しましょう。
なお、アルコール性急性膵炎は再発することが多く、再発防止には禁酒が必須です。
監修
東京医科大学 消化器内科学分野 主任教授
糸井 隆夫