尿路結石の治療とセルフケア
最終編集日:2025/11/3
尿は腎臓でつくられ、腎臓から腎盂、尿管、膀胱、尿道を通って体外へ排出されます。尿路結石は、尿に含まれる物質が結晶化してできたものです。結石が尿の通り道(尿路)を塞ぐと、尿の流れが悪くなって激しい痛みが生じ、尿が停滞するようになります。一般的な症状として、腰や背中、脇腹、下腹部の突然の激痛、血尿、頻尿、吐き気・嘔吐などが現れることがあります。
尿路結石はまれな病気ではなく、10人に1人はなるといわれ、女性より男性に多く見られる傾向にあります。また、2人に1人は5年以内に再発するという報告があります。
長期化すると、腎臓の機能障害や尿路感染を引き起こすこともあるので、早めに泌尿器科を受診して適切な治療を受けることが大切です。
●尿路結石の治療法
治療は、尿路結石の大きさ、位置、症状の有無などにより異なります。直径5mmまでの結石は自然に排出される可能性があるので、結石を排出するために水分の摂取、運動、服薬などが指導されます。
一方、自然排石が難しい場合は、除去する治療が行われます。治療法には、主に次の方法があります。
・体外衝撃波破石術(ESWL)
体外から結石に衝撃波を照射し、結石だけを粉々に破砕させ、尿とともに体外に排出させます。
・経尿道的尿管砕石術(TUL)
尿道から尿管まで内視鏡を入れて、尿管にある結石をレーザーで粉々に破砕させます。
・経皮的腎砕石術(PNL)
背中から腎臓に内視鏡を入れて、腎臓にある結石をレーザーで粉々に破砕させます。主に腎臓に大きな結石がある場合に行われます。
なお、上記を併用して治療を行うことがあります。また、結石排出促進薬や結石溶解薬を用いるケースもあります。
●尿路結石を改善するためのセルフケア
尿路結石を防ぐには、十分な水分摂取と、栄養バランスのよい食事など生活習慣の改善が大切です。これは、治療後の再発予防にもつながります。
〈十分な水分補給〉
1日2L以上を目安に、こまめに水分を補給します。カフェインや糖分を含まない水や麦茶などがよいでしょう。
〈食生活での注意点〉
・1日3食、バランスのよい食事をとることを心がけ、欠食、食べすぎを避ける
・動物性たんぱく質をとりすぎない
尿のpHが酸性に傾き、結石を誘発する要因となります。
・シュウ酸をとりすぎない
シュウ酸カルシウム結石の形成に関与します。シュウ酸を多く含む食品は、ほうれん草、たけのこ、チョコレート、コーヒー、紅茶、緑茶などです。
・塩分をとりすぎない
食塩の過剰摂取はカルシウム結石の危険因子になります。
・清涼飲料水や甘いものをとりすぎない
糖分は尿路結石形成を促進します。
・プリン体を多く含む食品、アルコールの過剰摂取は控える
尿酸値が高くなると、尿中の尿酸が増え、酸性尿に傾くため、結石の原因となります。
・カルシウムは1日600~800mgほどを目安に摂取する
カルシウムは腸管内でシュウ酸と結合し、便として排泄させる働きがあります。
〈就寝前の習慣づけ〉
結石は就寝中にできやすいので、就寝前の3時間は固形物をとらないようにします。夕食の量を控えめにして、寝る前にコップ1杯程度の水を飲みましょう。
監修
みんなの家庭の医学メディカルチーム