春先は要注意!「寒暖差」がもたらす不調とは

最終編集日:2025/3/10

春は、1年のうちで最も寒暖差が大きい季節です。暖かい日が続いた後、急に冬のような寒さに戻るなど、寒暖差によって体調を崩す人も少なくありません。気圧や温度、湿度などの変動で起こる体調不良の総称を「気象病」と呼んでいますが、寒暖差で起こる不調も気象病といえます。

私たちの体温は、自律神経によって調節されていて、寒くなると血管を収縮させて体温を上げ、暑くなると汗をかいて体温を下げています。しかし、寒暖差が大きいと自律神経の働きが乱れて体温調節がうまくいかなくなり、からだにさまざまな不調が生じやすくなります。

寒暖差による不調で多いものが、「寒暖差疲労」と「寒暖差アレルギー」です。これらは、一般に気温差(前日比、日内変動、室内外など)が7℃以上あると生じやすくなると言われています。


●寒暖差疲労とは

「寒暖差疲労」は、気温の変動によって引き起こされる頭痛、首こり、肩こり、疲労感、倦怠感などの症状で、人によって現れる症状はさまざまです。1日のうちで朝晩と昼で大きな温度差があったり、前日と当日、または週単位で温度が変動したり、室内と室外の温度差があったりすると、不調が生じやすくなります。


●寒暖差アレルギーとは

寒暖差アレルギーは、急激な温度差によって起こる、鼻水、鼻づまり、咳、くしゃみなど、アレルギーに似た症状のことで、医学的には「血管運動性鼻炎」と呼ばれています。鼻には多くの毛細血管がありますが、温度差によって鼻粘膜の毛細血管が拡張され、粘膜が腫れることでアレルギー性鼻炎に似た症状が起こるとされています。


●寒暖差による不調を防ぐには

自律神経の働きが乱れないように、できるだけ寒暖差への対策を行い、からだの血流を促すことが大切です。

・外出時の工夫

朝晩は気温が下がりやすいので、外出時はマフラー、マスクなどを身に着けて冷えないように工夫しましょう。特に、太い血管が通っている首、手首、足首を温めると血行促進につながります。また、季節の変わり目は、外出先で暑さ寒さを調節できるような服装で出かけるとよいでしょう。

・入浴

シャワーではなく、湯船につかる入浴で、からだを温めるようにしましょう。湯船につかることで、自律神経の副交感神経が優位になるため、リラックス効果が期待でき、血行促進や冷え対策にも有効です。

・適度な運動

筋肉には熱産生や血管を収縮させる働きがあります。筋肉量が多いと、体温維持に役立ちますが、少ないと体温調節がしにくくなります。筋肉量を増やすことは、血行促進にもつながるので、積極的に運動することが大切です。


季節の変わり目の不調で悩んでいる人は、気象病の診療をしている医療機関や、寒暖差外来のある医療機関を受診するとよいでしょう。


監修

せたがや内科・神経内科クリニック 院長

久手堅 司

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