増加傾向? 子どものアタマジラミ

最終編集日:2024/6/6

アタマジラミは頭髪に寄生する吸血性の昆虫で、感染しやすいのは子どもです。流行は1年中みられますが、6〜7月の初夏と10〜11月の秋に増加する傾向があります。


●頭を接触させるじゃれ合いで感染

アタマジラミの成虫の体長はオスが約2㎜、メスが約3㎜で、頭皮から血を吸います。メスは1日に5〜10個、一生で100〜200個の卵を産みます。毛髪に固着するように産み付けられた卵は約7日で孵化して幼虫になり、頭皮から血を吸って10〜14日ほどで成虫に成長します。

アタマジラミは頭髪を直接接触させると感染しやすいため、主に保育園児や幼稚園児、小学校の児童の間で流行しますが、ときには子どもと添い寝をする親に感染することもあります。帽子やタオル、ヘアブラシ、寝具、マフラーなどを介して感染することもありますので、これらの共有は避けましょう。

一方、プールやお風呂の水を介して感染することはありません。


また、頭髪の清潔状態と感染はまったく関係なく、毎日洗髪をしていても感染する可能性があります。不潔にしていたから虫がわいたというような誤解や偏見を広げないように周囲の大人は注意しましょう。


●感染後1カ月ほどしてから頭皮がかゆくなる

アタマジラミに感染すると頭皮のかゆみが生じます。かゆみは、アタマジラミが頭皮の血を吸う際に注入される唾液腺物質に対するアレルギー反応として出現するのですが、通常、感染後すぐにかゆくなることはなく、1カ月以上してから現れます。かゆみのため頭皮をかいているうちにかきむしって傷ができ、そこに細菌などが入って炎症が起きたり、耳の周りや首のリンパ節が腫れたりすることもあります。

かゆみの原因がアタマジラミかどうかは、成虫や幼虫、卵が見つかれば確定しますが、成虫や幼虫は動きがすばやいため発見するのは難しく、見つけてもすぐ見逃してしまいます。そのため、毛髪に固着している卵や孵化後の殻の有無を確認します。生きた卵は淡褐色、孵化後の殻は白色で、後頭部や側頭部、耳の後ろの毛髪の付け根付近に多く存在します。殻はフケやヘアキャスト(毛包の中の角質が外に出てきて毛髪にリング状に付着したもの)に似ていますが、これらは指先で払ったり、つまんで引っ張れば容易に動きます。区別がつかない場合は、皮膚科を受診しましょう。

子どもにアタマジラミが見つかった場合は、兄弟姉妹や親の頭髪も点検するとよいでしょう。


●すき櫛(ぐし)での除去、およびシラミ駆除用シャンプーでアタマジラミを全滅させる

治療は、すき櫛を使って成虫・幼虫と卵を除去する方法、および殺虫効果のあるシャンプーで頭髪を洗浄して成虫・幼虫を死滅させる方法の二つを行います。皮膚科でも同様の指導を受けます。

すき櫛とは、髪の汚れやフケなどを取り去るのに使う細かい歯のついた櫛(くし)のことで、治療に使うシャンプーに付属していますが、市販されているアタマジラミ用のすき櫛もあります。それらで毛髪をすいて成虫や幼虫、卵を除去しますが、一度ではとりきれないため、頻繁に行う必要があります。

長髪やくせ毛の場合は、できれば髪を短くすると除去しやすくなります。

洗髪には、ピレスロイド系殺虫剤であるフェノトリンを含有するシラミ駆除専用のシャンプー(商品名:スミスリンⓇLシャンプータイプ、スミスリンⓇシャンプープレミアム、アースシラミとりシャンプー)を使います。洗髪前に使うパウダー(商品名:スミスリンⓇパウダー)もあります。いずれも薬剤の殺虫効果で成虫、幼虫を死滅させますが、卵には効果がないので、3日に1回、3〜4回使用する必要があります。これらは市販の医薬品なので薬局やドラッグストアで購入できます。


なお、近年、ピレスロイド系殺虫剤が効きにくい「抵抗性アタマジラミ」が海外で広がり、日本でも一部の地域でみられますので、通常の治療で効果が得られない場合は皮膚科を受診しましょう。抵抗性アタマジラミにはジメチコンを配合したローション(商品名:アースシラミとりローション)が効果的です。ジメチコンはシリコンの一種で、成虫や幼虫、卵をコーティングすることで気門(呼吸のための穴)を閉塞して死滅させます。こちらも薬局やドラッグストアで購入できます。


※2024年5月30日時点の内容です。

監修

兵庫医科大学皮膚科学教授

夏秋 優

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