下肢静脈瘤 の原因と治療法とは?

左のふくらはぎにこぶのようなものができ、だるさや痛みもありました。受診したところ下肢静脈瘤が疑われるとのことで、医療用の弾性ストッキングを着用し、経過観察することになりました。下肢静脈瘤について、原因や治療法などを教えてください。
この質問への回答
保健同人フロンティアメディカルチーム
太ももからふくらはぎの下肢の静脈の一部が、太くふくらんで瘤(こぶ)状になったものを下肢静脈瘤といいます。
下肢の静脈は心臓から遠く、動脈のように心臓によるポンプ作用がありません。静脈の血液が重力に逆らって上方にスムーズに流れるためには、血管周囲のふくらはぎの筋肉のポンプ機能と、血液の逆流を防ぐ静脈弁の働きが必要です。筋肉のポンプ機能と静脈弁の働きが弱くなることと、血管壁や血管周囲の組織の脆弱(ぜいじゃく)化が重なって、血液の逆流や停滞をひきおこし、弱くなった静脈壁がふくらんで瘤を形成します。これが下肢静脈瘤です。
下肢静脈瘤を誘因するものとして、以下が考えられています。
●加齢によって静脈壁や周囲の組織が弱くなったり、弾力性が低下した
●立ちっぱなしの仕事などで足の筋肉を使う機会が少ない
●家族や親族に病歴がある
●肥満や妊娠、など
症状としては、外から見てもわかる静脈瘤が現れます。また、見た目の症状だけでなく、足のだるさ・重さ・ほてり・ピリピリ感・かゆみ・むくみ・疲れやすさ・痛み、こむら返りを何度も起こすなどの自覚症状が起こります。重症化すると、滞った血液中の鉄分などが皮膚に沈着して足の皮膚が黒っぽくなる(色素沈着)、皮膚炎、湿疹、くるぶしの上に好発する潰瘍などが現れます。また、入浴時に血豆状の出血がみられることもあります。
診断には、リンパ浮腫や静脈奇形との鑑別が行われます。確定診断がつきにくい場合には、医療用弾性ストッキングを1ヵ月着用し、症状が改善されるかどうかを評価して、改善される場合に下肢静脈瘤と診断をつけることもあります。
下肢静脈瘤の治療の目的の多くは、症状や外見上(美容面)の問題を解消することです。
基本的な治療法は、医療用弾性ストッキングを用いて血流を改善し、むくみや足の重さ、疲労感などの症状を軽減します。根治的治療ではないため、軽症以外では、ほかの治療法(硬化療法、血管内焼灼術、血管内塞栓術など)との併用になるのが一般的です。いずれの方法でも、治療を受けた血管は半年程度で周囲の組織に吸収されます。また皮膚を大きく切開するような治療ではないため、からだへの負担は少ないといいます。
進行度、症状の強さ、全身状態、ライフスタイルなどにあわせて、治療法が選択されます。


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