「顕微鏡的多発血管炎」と診断されたあとの治療は?

2025/05/06
「顕微鏡的多発血管炎」の疑いがあると言われました。診断された場合、どのような治療を受けるのでしょうか?
この質問への回答
東海大学 医学部血液腫瘍内科 教授
川田浩志
「顕微鏡的多発血管炎(MPA)」は、毛細血管などの細い血管の壁が炎症を起こし、腎臓、肺、皮膚、神経などにさまざまな障害を起こす病気です。
治療は「寛解導入療法」と「寛解維持療法」の2段階で進められます。寛解とは、完治ではないが病状が落ち着いている状態を指します。
急性期は「寛解導入療法」として、ステロイド(プレドニゾロン)と免疫抑制薬(シクロフォホスファミド、リツキシマブ)の併用が一般的です。重症例では短期間で大量投与する「ステロイドパルス療法」や血漿交換療法が選択されることもあります。通常、3~6カ月で症状が改善され、寛解へと導かれることが期待されます。
その後は「寛解維持療法」に移行し、再燃(病状がぶり返すこと)を防ぐためにステロイドの投与量を徐々に減らしながら、免疫抑制薬を継続することが推奨されています。寛解維持療法は通常、1~2年継続されますが、再燃リスクが高い場合は、より長期間の維持療法が必要になります。
MPAの治療は、できるだけ早期に寛解にもっていくことが重要です。炎症が長引くと腎不全が進行して人工透析が必要になったり、末梢神経障害による痛みやしびれが残ったり、間質性肺炎が進行して呼吸不全に陥るリスクが高くなるからです。また、寛解が得られても再燃する可能性があるため、慎重な経過観察が必要です。
治療中は主治医と相談しながら、薬の副作用に注意して体調のコントロールに努めましょう。


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