肺NTM症は治る病気?

女性/60代
2025/03/24

肺NTM症は完治しますか? 治療方法や予後について教えてください。

この質問への回答

千葉大学病院 呼吸器内科 特任教授 巽 浩一郎

肺NTM症(肺非結核性抗酸菌症)は、非結核性抗酸菌(NTM菌)が原因となって発症する呼吸器感染症です。NTM菌は自然環境、生活環境に広く存在していて、誰もが感染しうる病気と言えます。しかし、免疫機能が正常に維持されている場合、感染は成立しません。全身または肺での免疫力が低下した場合に、NTM菌が肺に定着・増殖して肺NTM症が成立します。肺に病気があり、肺および気管支構造が壊れている場所でNTM菌は増殖します。ステロイド薬、免疫抑制薬などの使用で全身の免疫力が低下している場合にも、NTM菌は増殖することがあります。


肺NTM症に罹患した人の8~9割は自然治癒(寛解)することが多いようです。しかし、免疫力が低下した場合に再発することがあります(肺結核症と同じです)。肺NTM症の結果、軽度の気管支拡張症(気管支構造が壊れる病気)になった場合、局所免疫機能を高めるためにエリスロマイシンの少量長期投与が望ましいのですが、近年エリスロマイシンの製造が中止されており、治療が困難になっています。


NTM菌の増殖により肺に大きな空洞ができてしまい、病気が進展して自覚症状(咳嗽:がいそう、喀痰:かくたん、血痰、発熱、体重減少など)が出現した場合は、NTM菌の増殖を抑制する抗菌薬が使用されます。薬を内服しても効果がない場合は、抗菌薬の注射や吸入が検討されます。治療はNTM菌の活性が低下して、自身の免疫力が上回ったと想定されるまで約1~2年続けます。喀痰検査で菌が検出されなくなった後も12カ月ほど治療を継続し、その後は経過観察(6カ月に1度受診)となります。重症になると寛解が難しい病気ですが、重症化するのは肺NTM症全体の1割以下です。8~9割くらいの人は、半年に一度、経過観察するだけで済みます。




※2025年2月25日時点の内容です。


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