憩室炎の治療が薬のみで不安

ご相談者のお母さまが吐き気と腹痛を起こし、憩室炎の可能性が高いということですね。

憩室とは、腸の壁が外側に、袋状に突出した状態をいいます。大腸憩室は年齢とともに頻度が上がり、80歳以上になると50％を超えるともいわれています。憩室の多くは発見されても症状がないことが多く、症状がなければ治療の対象にはなりません。しかし、憩室に炎症を起こしたり（憩室炎）、出血などを起こした場合には、適切な処置が必要となります。

治療は、膿を持ったり、腸に大きめの穴があき腹膜炎を起こしたりすることがなければ、外科的な処置は行わずに、腸の安静を保ち、薬による治療となります。また、憩室は壁が薄いため、便秘などで内側の圧が高くなると、穿孔（せんこう）といって穴が開くことがあります。小さな穿孔であれば、周りの脂肪の組織や腸間膜などがあるおかげで部分的な感染で抑えられるため、薬での治療を行います。

しかし、腸穿孔によって、腹部全体に炎症を起こすと、腹膜炎になってしまうことがあります。このような状態になると、そのまま放っておくことはなく、80代でも外科的な治療（手術）が必要になることが多いです。炎症や症状の程度によっては、薬や腸の安静を保つために、入院がすすめられることもあります。

主治医は検査や診察の結果から、ご自宅で薬を使った治療が適切と判断されたのだと思われますが、症状が改善しない場合や、疑問や不安があるような場合は、今回の症状の原因や病名、病状、今後の治療方針などについて再度、主治医に確認されると安心でしょう。まずは医師によく説明を受け、必要に応じて、CT検査などの精密検査をお受けになることをおすすめいたします。