高めの血圧は服薬で下げたほうがよい？

年齢とともに徐々に血圧の上昇がみられるが、このまま上昇を続けるなら、高血圧の薬の服用など、治療が必要になるのか知りたいとのこと。高血圧は無症状の場合がほとんどのため、放置されたり、治療を開始しても服薬の継続率が徐々に落ちてしまうことが知られています。しかし、高血圧の治療の目的は、高血圧によって引き起こされるさまざまな合併症を予防することにあります。

日本の高血圧者数は、約4300万人と推定されています。そのうち治療を受けて良好にコントロールされている人は27％程度で、高血圧に起因する死亡者数は年間約10万人と、喫煙に次いで多いといわれています。心血管病死亡の約50％、脳卒中の50％以上が、正常血圧(収縮期血圧120mmHg未満かつ拡張期血圧80mmHg未満)を超える血圧高値に起因するものと推定されています。

服薬を開始して血圧が正常値になると、高血圧が治ったと勘違いして服薬をやめしてしまう人がいます。しかし薬をやめると血圧は元に戻ってしまいます。前述のように、降圧剤による治療の目的は高血圧の原因に対する根本的な治療ではなく、高血圧が原因で起こる心筋梗塞や脳卒中などの予防にあり、降圧剤を服用することでこれらの病気の予防が期待できます。

生活習慣を見直して改善しても、高血圧が続く場合は薬物療法を行いますが、年齢、高血圧の重症度、合併症の有無などを考慮し、薬物療法が必要かどうかは医師が判断します。まずは、かかりつけ医か循環器内科を受診し、相談してみてはいかがでしょうか。