ここ数カ月、急に物忘れがひどくなった

数カ月前から物忘れがひどくなり、仕事でのミスも増え、ご家族からも指摘を受けているのですね。人間の脳は、年齢を重ねるごとに次第に機能が低下し、物忘れをするようになったり、若い頃に比べて反応が鈍くなったりします。ついうっかり忘れてしまうようなことは、決して珍しいことではありませんが、症状が続くと不安になってしまいがちです。

記憶をはじめとする精神の活動は、疲れや睡眠のとり方が関与していることも多いです。最近、記憶が衰えたなと感じたら、生活のパターンが変化していないか、睡眠時間が少なくなっていないか、疲れがたまっていないか、休息の時間が足りているかを点検してみる必要があります。もし気になる点や問題点があれば、改善することで症状はよくなることもあります。

その他、内服薬の影響がある場合、飲酒量が多くなり記憶の働きに影響を与えている場合、脳の血管に問題がある場合などの可能性もあります。

いわゆる認知症などの場合は、記憶の全体に持続的な物忘れが現れ、日常や社会生活に支障をきたすようになります。加齢に伴う変化と、認知症などの病気の初期症状を見極めることは大変難しいことですが、大きな違いは、物忘れの状態を自覚できるか、できないかという点かもしれません。

また、物忘れが年齢相応のものか病的なものかを正しく判断するための手段として、物忘れ外来などの専門の医療機関で、必要な検査や診断を受けるという方法があります。問題のある物忘れかどうかを診断するためには、診察、心理検査、脳の血流をみる検査、CT（コンピュータ断層装置）やMRI（核磁気共鳴コンピュータ断層装置）検査などが手がかりになります。

思い当たる原因がない場合や、生活習慣や環境などを改善しても症状が続く場合は、お近くの医療機関、もしくはかかりつけ医があれば、まずはかかりつけ医へ相談されることをおすすめします。