前立腺の生検を受けるか迷っている
前立腺肥大症の治療歴がありますが、先日の受診の際、再び肥大の傾向がみられるといわれました。PSA(前立腺特異抗原)値も基準より高く、ここ数年上昇しているため、医師から前立腺生検をすすめられています。自分で調べてみたところ、がんである場合は、生検によってがんが拡散する恐れがあると知り、受けるべきか決めかねています。
男性/50代
2023/05/06
主治医がすすめる前立腺生検を受けるか決めかねているとのこと。これは専門医でも意見が分かれる難しい判断となるため、負担もおありのこととお察しします。
前立腺は膀胱の尿道寄りにあり、くるみ大ほどの大きさで尿道を取り巻いています。果物のみかんに似た層構造をしており、内腺(みかんの実にあたる部分)と外腺(みかんの皮にあたる部分)に分かれ、内腺の中心には尿道が通っています。
前立腺肥大症とは、大きくなった内腺が尿道を圧迫して尿の出が悪くなる病気で、50代以降に多発します。対して「前立腺がん」は、おもに外腺より発生がみられます。
また、PSAとは、前立腺から分泌される酵素の一種で、前立腺肥大症、前立腺がん、前立腺炎などによってその数値が上昇します。一般的に4.0ng/mL以下が「正常値」、4.1~10.0ng/mLが「グレーゾーン」と分類され、前立腺肥大症の患者さんの1~2割程度にPSA値の上昇がみられ、10.0ng/mL前後までが多いようです。
通常、PSA値が10.0ng/mL以上になると前立腺生検の適応があるといわれていますが、実際には4.1 ng/mL以上でも対象となる場合があります。さらに、グレーゾーン域になると泌尿器科専門医の間でも議論が生じるところであり「PSA値の変動」「前立腺肥大の経過」「触診所見」「炎症の有無」「症状の変化」など、個々の患者さんの状態を総合的に判断したうえでどの程度がんが疑われるのかを検討し、生検が選択されているようです。
今回はご相談者の状態を鑑みたうえで生検がすすめられたものと推測され、検査の必要性を判断した理由を含めて、疑問や不安に思うことを具体的に主治医に伝えて相談できるとよいでしょう。
なお、この前立腺生検は病理検査であり、確定診断となりますが、1回の検査で診断がつかない場合には期間をあけて複数回実施することもあります。また、生検後に出血を伴うことがあるほか、ご相談にもある通り、がんがあった場合には患部を刺激してがんが広がるリスクも否定できません。このように患者さんにとっては負担になる検査でもあるため、そのメリットやデメリットについても主治医とよく相談し、納得のいく治療方法を選択していけるとよいですね。
回答者
保健同人フロンティアメディカルチーム
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