乳がん検診で見つかった乳腺の石灰化は、がん化のリスク?
1年前に乳がん検診を受けたところ、カルシウムが沈着する石灰化があるといわれました。超音波検査でもはっきりせず、触診でもしこりなどが感じられないため、マンモトーム生検を受けたところ、良性でした。医師から問題ないといわれていますが、これががん化することはあるのでしょうか?
女性/40代
2022/12/21
乳がんの検査と石灰化、がんの診断について説明します。
乳がんの画像検査は、超音波検査とマンモグラフィ検査があります。乳房超音波(エコー)検査は、乳房の断面図を写し出す器機で、触診ではわかりにくい数㎜のしこりを見つけることができます。ただ、石灰化したがんは見つけにくいのが弱点です。
一方、マンモグラフィは、乳房専用のX線撮影機で触診ではわかりにくいしこりや、石灰化したがんを見つけることができます。ただ、乳腺が多い乳房では、病巣と正常組織を区別することが難しく異常を見つけにくいという弱点があります。
一般的には、乳腺が多い20~30代の女性は超音波検査が有効です。40代以上はマンモグラフィ検査が適しているといわれています。しかし、近親者が乳がんに罹患した人など、乳がんリスクの高い場合は30代でもマンモグラフィの有効性が高いと考えられます。
乳腺の石灰化は、何らかの原因によりカルシウムが乳房の一部に沈着したことをいいます。カルシウムは、細胞が死んだ後の残骸や硬化した血管などに多く含まれます。カルシウムは、X線写真上では、白く写り、乳腺、脂肪、筋肉などに比べて目立ちます。
石灰化の大半は良性の病変に伴って起こりますが、乳がんに伴うこともあります。良性病変か乳がんかは、石灰化の1つひとつの形や並び方で多くは判定できます。
良性の石灰化は、悪性のものに比べて粗大な傾向にあり、平滑な辺縁をもった円形を呈し、観察しやすいものです。一方、悪性の石灰化は、細かい石灰化、例えば粒様にみえる砂粒状石灰化、細い線の微細線状石灰化では悪性が強く疑われます。
がんによる石灰化が疑われる場合は、マンモトーム生検(吸引式乳房組織生検)でなどで詳しく調べる必要があります。マンモトーム生検は、マンモグラフィか超音波検査で、病変部の位置を映しながら、コンピューターで針を刺す場所を決めるので、1回で正確に多くの組織を採取することができます。
なお、完全に良性の石灰化と判断できない場合には、6カ月から1年後にマンモグラフィを中心とした検査でフォローアップが必要な場合もあります。
回答者
保健同人フロンティアメディカルチーム
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