嘔吐に敏感になって怖い……

特定の物や状況に過度の不安や恐怖を抱くことは誰にでも起こることです。高所など、怖い対象がはっきりしていると避けやすいですが、対象が嘔吐の場合はいつ誰が吐くかわからないので、避けるのがむずかしくなります。そのため、少しでも嘔吐が避けられるように除菌したり、薬で抑えようとすると行動が生まれることも多くあります。

吐くことや嘔吐物は、たいていの人にとって避けたいものです。そのため、嘔吐を嫌でなくなる必要はありません。ただ、敏感すぎて怖い気持ちが強く、日常生活でもずっと気になるようだと、つらいと思います。

ご相談者は、嘔吐について、どこにいちばん困っているでしょうか。誰かが吐くのではと、まだ起きていないことに怯え、不安になることでしょうか。それとも、吐かないために薬を飲んだり、除菌する行動をやめたいのでしょうか。許容できる範囲（安心のためにこれからもつづけてよさそうなこと）と許容できない範囲（つづけることによって害がありそうなこと）に分けて考えてみるのも1つです。今までをふり返って、実際にはどのくらい、恐れていたことが起きたかも検証してみてください。

また、嘔吐が怖くなったのはいつからでしょうか。今まで、怖い気持ちを抱えさまざまな工夫をしつつも日常生活に大きな支障がなく過ごせているようなら、これからもそのやり方をつづけるとよいと思います。気を許せる友人や家族などに話ししみるのもよいかもしれません。程度や内容は違っても、それぞれ悩みや苦手なものはあるもので、誰かに話すことによって思わぬ光が見えてくることもあります。

何か怖くなったきっかけがあるようばら、それについて対応する必要があるかもしれません。もしそのきっかけや原因となる出来事が脳裏によみがえって苦しくなったり、そのために外出できないなどの大きな支障が出たりすることがあれば、1人で対処せず、心療内科などを受診し、専門家の力を借りるようにしてください。