噴門弛緩症(カラジア)
生まれたばかりのときから、ほんとうによく吐く子でした。母乳ですが、飲ませるたびに吐きます。医者に噴門弛緩症といわれ、様子を見ていて大丈夫といわれたのですが、ほうっておいてもよいでしょうか。日常生活ではどのようなことに気をつければよいですか。(3か月|男児)
女性/30代
2021/12/21
噴門とは、食道と胃の境目のことで、胃に入ったミルクは食道に戻ってこないように閉じています。しかし、正常の赤ちゃんでもこの閉じ方が弱くてときには逆流が起こることがわかっています。噴門弛緩症(カラジアともいいます)は、その名のとおりに噴門のしまりがゆるいために逆流が起こりやすいことを指す病名です。噴門弛緩症のほとんどは生後1週以内からよく吐きます。また、戻ってきたミルクを肺の中に吸い込んで誤嚥性肺炎を起こしたり、いつもゼコゼコしやすかったりします。胃液の逆流によって食道炎が起こり、そこから出血することもあります。症状の軽いものでは、授乳後に腹ばいに寝かせると吐きにくくなりますが、その姿勢では突然死を起こす率が増す心配があるので、すすめられません。もし行うならば、目の届く状況でだけ試みるのがよいと思います。そのかわり、あお向けにして上半身を起こしておけば、それも吐きにくい体位です。首がすわっていれば赤ちゃん用のいすにすわらせて、上半身を起こした体位を保つようにします。授乳後にこの体位を保つことが最も大切ですが、なるべく長い時間、体位を保てれば有効性が増します。これにより吐くことは明らかに減ります。しかし、それでもよくならない場合は、食道造影(X線撮影)や食道pHモニターをして症状を把握します。治りにくい場合には手術も選択されます。お尋ねの赤ちゃんでは、症状が軽いらしいので、まずは、体位をきちんと保ってようすをみることがすすめられます。
回答者
福島県立医科大学 甲状腺・内分泌センター センター長
横谷 進
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