乳児の下痢のときの大豆粉乳の使い方

赤ちゃんの下痢のときに大豆粉乳を使うとよいと聞きましたが、どういう製品ですか。(5か月|男児)
この質問への回答
福島県立医科大学 甲状腺・内分泌センター センター長
横谷 進
赤ちゃん用の大豆粉乳は古くから使われており、いまでも有効な使い道がいくつかあります。大豆粉乳とふつうの粉ミルクの大きな違いは2つあります。第1の違いは糖質(炭化水素)です。粉ミルクでは、牛乳を原料としているので、乳糖が多く含まれています。乳糖はブドウ糖とガラクトースが結合したもので、腸の中で消化・吸収されるためには乳糖分解酵素が必要です。長びいている下痢では乳糖分解酵素の働きが弱まるので、乳糖は腸にとって負担になると考えられています。一方、大豆粉乳の糖質は、でんぷんなど、ブドウ糖がつながった構造なので、乳糖分解酵素なしに消化・吸収されます。第2の違いはたんぱく質です。粉ミルクのたんぱく質は牛乳からのもので、大豆粉乳はもちろん大豆たんぱくです。牛乳たんぱくはそのままでは消化しにくいのですが、最近の粉ミルクのたんぱく質は下痢のときでもそれほど腸の負担にならなくなっています。ミルクアレルギーの場合は別にすれば、急に起こった下痢(急性下痢症)では大豆たんぱくのほうがすぐれているとは一般にはいえなくなっています。急性下痢症では、それまで飲んでいた粉ミルクを使っていてだいたい乗り切れます。しかし、長びいたときなど、乳糖による負担を避けるために大豆粉乳を使う方法も有効です。ただし、ほかにもいくつかの選択がありうるので、いろいろな要素を検討したうえで適切なミルクを選んだほうがよいと思います。ぜひ小児科医に相談してください。


みんなの
歩数ゲームやデイリーアドバイス、無料健康相談※が利用可能

※ご所属先が本サービスを契約いただいている場合のみご利用いただけます。