検診で胃憩室が発覚。放っておいてよい？

胃憩室とは、胃の壁の一部分が袋状に拡張し、外側に突出している状態をいいます。憩室は、胃以外の臓器、大腸や食道などでもみられるものです。

胃に見られる憩室は、胃壁の全層からなる真性憩室と胃壁の筋層が欠けている仮性憩室に分けられ、できやすい部位は、噴門部（胃の入り口付近）と幽門部（胃の出口付近）です。憩室があっても、通常、症状のないままに経過することが多いですが、ときに炎症や潰瘍を伴うことで、腹痛や吐き気、嘔吐などの消化器症状が起こることがあります。

通常、症状がなければ、治療の必要はありませんが、炎症や潰瘍などをくり返すような場合には、治療が検討されます。

ただし、症状がない場合でも、憩室の状態の変化や胃のほかの部分や十二指腸などの病気がないかどうかを確認するために、胃部Ｘ線（レントゲン）検査や胃部内視鏡検査を定期的に受けて経過をみていくことが大切です。受診先は消化器病専門医のいる医療機関をおすすめいたします。

血液検査で貧血気味と言われたとのことですが、胃憩室と貧血との因果関係はいわれていません。胃潰瘍などが原因で、胃の粘膜から出血が続いている場合には、少量の出血であっても貧血傾向になることがありますが、その場合には胃痛などの症状が伴うことがほとんどです。

胃をよい状態に保つために、過労や睡眠不足、食べすぎや飲みすぎなどを避け、規則正しい食事と生活を心がけて過ごしましょう。

貧血傾向の場合には、めまい・立ちくらみなどの自覚症状や貧血検査の数値的な変化をみることで、急に起こった貧血なのかどうか、原因は何かを確かめておくことが大切です。

女性は、月経の影響で貧血になりやすいため、食事では、鉄分の多い食品を積極的に取り入れ、月経不順や不正出血などがみられる場合は、婦人科で相談なさってください。