子どもをかわいいと思えない
2か月前に出産しました。以来、体調が悪く、苦しくて泣いてばかりいます。子どもがかわいいと思えず、こんなはずではなかったと自分を責める日々です。
女性/30代
2021/12/21
「生後間もない赤ちゃんとお母さんの姿を、絵に描いてみましょう」という課題があったら、どんな絵を描くか、想像してみてください。たとえば「すやすや寝息を立てて眠るわが子を、いとおしそうに眺める母親」という姿を思い浮かべる人は多いことでしょう。もちろん、それが間違っているとはいえません。しかし、「赤ちゃん=かわいい」「母親=かわいい赤ちゃんを育てて幸せいっぱい」とばかりはいえない現実があることを知っておく必要があります。
第一に出産前後は、女性にとってホルモンのバランスが激変する時期です。また、出産そのものの体力的な負担に加え、生後間もない赤ちゃんは、夜も昼もなく、2~3時間おきの授乳や排せつなどが必要になるため、その世話に追われる毎日が始まります。赤ちゃんは、とても小さくてまだ免疫力も弱いため、外に出ることも極力控える生活となります。また、少しでも変わったことが起こると、「大丈夫かしら」と心配も尽きません。
母親になった瞬間から、からだの中も、生活状況も、激変する中、社会生活からも一旦引いたところで、新しい命を守る営みがいかに大変なことか、私たちはもっと理解しなければいけないと感じます。
実際、かなりの女性が、産後1週間後くらいまで、「気持ちが沈む」「疲れて体調がすぐれない」「悲しくなり涙が出る」「イライラする」「漠然とした不安感に襲われる」などの症状を経験するといわれています。これはマタニティブルーといって、通常は一過性のものです。無理せず、家族や周囲の人のサポートを得る中で、自然に治ることが多いのです。
しかし、このような状態が1週間以上続き、「自分を責める」「家事や育児に集中できない」「悲観的にしか物事が考えられない」「赤ちゃんのことを過剰に心配する」「感情が抑制されかわいいという感情が起きない」などの症状がある場合は、産後うつの可能性があります。産後うつは病気なので、周囲の理解やサポートのみでは、なかなか回復が難しいことが多いのです。さらに重症になると、生きている価値がないと感じ、自殺したいとまで思いつめることもあります。お母さんにとっても、赤ちゃんにとっても、命の危険な状態になることもあります。
このような状態が少しでもあてはまる場合は、早めに専門医を受診してください。現実的には、生後間もない赤ちゃんを抱えたお母さんが、ひとりで受診するのは難しいことと思いますので、ご家族の協力が不可欠です。受診先がわからない場合は、まず出産した産婦人科やお住まいの地域の保健師さんに相談してみてください。
回答者
保健同人フロンティアメディカルチーム
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