部下がアスペルガー症候群かも
私がマネジメントするチームの中にアスペルガー症候群ではないかと思われる部下がおり、その対処に悩んでいます。
もちろん素人判断で彼を病気扱いするわけにはいきませんが、
・なぜこのタイミングでそれを言う?する?ということがある
・物事を筋道立てて説明することができない
・困ったり、予定通りにいっていないことを情報共有できず放置してしまう
・突発的に感情が抑えられなくなることがある
などの行動があり、実際にトラブルにまで発展することもしばしばあります。
その点を指摘しても、本人は理解できないようで困惑しているような顔をします。もしアスペルガー症候群であれば叱るというやり方は違う気がしてきますし、どう対応すればいいのかとまどってしまいます。
女性/30代
2021/12/21
マネジメントされているチームの中に、アスペルガー症候群ではないかと思われる部下の方がいて、その方の対応に悩んでいらっしゃるとのこと。
文面にある部下の方の行動や対応から、実際にトラブルにまで発展することもあるようですから、トラブルを回避するためにも、今後に向けてしっかりと対応を考えていきたいとの思いが伝わってきます。また、部下の方なりにがんばっている様子もきちんと受け止められていて、上司としての部下の成長を大切にしたいという思いも感じました。
アスペルガー症候群とは、広い範囲における自閉症の一つです。一般的に、知的な遅れがなく、関心が持てることとそうでないこととの対応差が大きく、相手の感情を読みとったり、予想外に起こったことへの対応が苦手だったりすることなどが特徴として挙げられます。
部下の方がアスペルガー症候群かどうかは、現時点では判断できませんが、診断は主に精神科の専門医が行います。
ここでは、部下の方がアスペルガー症候群であると仮定したうえで、ご質問にあった対処法について述べていきたいと思います。
アスペルガー症候群の方は、人とはどこか違うと漠然と感じながら子ども時代を過ごし、大人になって、それが具体的な生活のしづらさとなって表れながらも、原因がわからずに、日々悩みながら過ごされている方も多いものです。
ご本人がそのつらさを口に出したり、表したりしなくても、まずは「困っている思い」があるのだろうなと、周囲が理解することが大切です。
そのうえで、まずは何が理解でき、何が理解できていないかを少しでも明らかにして、お互いの困惑を減らしていきましょう。話しをする際は、気が散ってしまわないように静かな部屋で、二人で話してみてください。そして抽象的表現や例え話は入れず、伝えたいこと、聞きたいことを、一つ一つ簡潔に要点を絞って表現するようにします。そのようにして確認しながら話しを進めることで、どこでつまずきやすいのか、どのような工夫でトラブルを防ぐことができるのかが、少しずつ見えてくるのではないでしょうか。
上記のことは、一般的な部下への関わりでもいえることです。何かトラブルやミスをしてしまったとき、本人は悪かったということには大抵は気づいているものです。マネージャーの仕事は反省させることではなく、「二度と同じ失敗を繰り返さないためにどうするか」をきちんと理解してもらうことです。アスペルガー症候群の方に対してであれば、それをより細分化して振り返ることが必要になります。
また、仕事を与える際の工夫も必要になります。アスペルガー症候群の特徴として二つのことに並行して取り組んでいくことや、全体像を把握したり、予想外の出来事に対応したりすることが苦手といわれています。一方で、得意分野にはとことん集中して素晴らしい能力を発揮します。アスペルガー症候群の子どもが「天才肌」といわれるゆえんです。もし可能であれば、進捗報告をきちんとしてもらいながら、変化が少なく、計画的に進めていける仕事を、まかせてみてはいかがでしょうか。そういった仕事はないようであれば、仕事を与える際に予め順序を決めて一つ一つ割り振っていく、必ずペアで仕事をさせるなどの工夫や配慮をすることで、お互い仕事がやりやすくなったり、職場の皆さんがその方の特徴を理解しやすくなり、孤立してしまう心配も減るのではないでしょうか。
最後に、アスペルガー症候群の方はつらさをうまく表現できずに、抱え込んでしまうことも多く、心的負担から心身に不調が生じてしまう場合があります。部下の方の日ごろの様子なども観察しながら、つらそうな様子が見られるようであれば、精神科などで現状を相談してみるよう勧めることも必要です。産業保健スタッフとも連携をとりながら、対応を考えていくことをおすすめします。
また、各都道府県には「発達障害者支援センター」と呼ばれる、発達障害者への支援を行う専門機関があります。こちらでは、職場で困っていることなども含め、関係機関からの相談にも応じてくれますので、今後何かお困りのことがありましたら、ぜひご活用ください。
回答者
保健同人フロンティアメディカルチーム
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