Question

お酒を飲まないと眠れない

疲れているのに、ベッドに入っても目がさえて眠れません。仕方なくお酒を飲んで眠る毎日です。毎晩眠れるか不安です。

男性/40代

2021/12/21

Answer

疲れているのに眠れないというのは、とてもつらいことですね。睡眠不足だと、明日の仕事に支障が出るから、早く眠らなくては、と焦れば焦るほど、目がさえてしまう、このようなことは、ほとんどの人が、経験していることと思います。


皮肉なもので、「眠ろう」と意識すればするほど、不安感や緊張感が増し、眠れなくなってしまうというジレンマに陥りやすくなります。ただ、通常は、一時的に眠れない日があったとしても、1日から数日たてば、また自然に元のように眠れるようになることが多いので、焦る必要はありません。眠れないと思ったら、一旦、ベッドから出て、別のことをしてもよいでしょう。要は「眠れない」という不安や焦りを、自分自身で高めてしまわないように気持ちをそらし、「そのうち眠れるだろう」と余裕をもって、とらえることが大事です。


ただ、眠れない状態が2週間以上続いたり、そのために仕事や生活に支障が出たり、疲労感や身体の症状などでつらい状態になっている場合は、注意が必要です。自律神経のバランスが崩れ、自分自身の気持ちの持ち方や生活の工夫で立て直すことが難しい状態になっているかもしれません。このようなときには、心療内科やメンタルクリニック、睡眠外来など、専門の医療機関を受診することをおすすめします。


しかし「どこに受診したらよいかわからない」「仕事が忙しくて、病院に行く時間がとれない」「薬を出されても、副作用が怖いので飲みたくない」などの理由で、受診を躊躇するケースは珍しくありません。中には「お酒を飲めば眠れるので、大丈夫」と話される方もいらっしゃいますが、本当にそうでしょうか。


お酒には催眠作用がありますが、実は良質な睡眠をとる上では、妨げとなってしまうのです。アルコールを体内で分解するときにできる、アセトアルデヒドという物質は、眠りを浅くする作用があり、寝つきやすくなる一方、途中で目が覚めやすくなります。さらにお酒の催眠作用自体も耐性ができやすいので、だんだん酒量を増やさないと眠れなくなってしまいます。継続的に飲酒を続けることで、睡眠はとりにくくなり、アルコール依存や肝障害など、さらなる不調を引き起こす危険性もあるのです。


「でも、病院受診して、睡眠薬をもらっても、繰り返し飲んでいると、効かなくなったり、飲むのを止められなくなったりするのではないか?」という疑問や不安を感じる方もいらっしゃると思います。しかし、専門の医師に処方された通りに服薬しているならば、その可能性は低いでしょう。薬自体、昔と比べるとかなり改良されていますし、睡眠がとれるようになれば、医師の指導の下、減薬したり、止めたりすることもできます。また、一口に「睡眠がとれない」といってもその原因は様々です。薬だけでなく、診察やカウンセリングを通して、睡眠を妨げる原因となっている生活スタイルを見直したり、ストレスへの対処方法などを身に着けたりする機会が得られるかもしれません。


ひとりで悩まず、きちんと専門医に相談し、すっきりした朝を迎えられるようになるといいですね。

回答者

保健同人フロンティアメディカルチーム

関連するキーワード

睡眠
アルコール
依存症
本サービスに掲載される情報は、医師および医療専門職等の監修の元、制作しております。監修者一覧および元となる情報はこちらからご参照ください。
みんなの家庭の医学 アプリイメージ
アプリでも

みんなの家庭の医学

歩数ゲームやデイリーアドバイス、無料健康相談が利用可能

QRコード

※ご所属先が本サービスを契約いただいている場合のみご利用いただけます。