レイノー病れいのーびょう
最終編集日:2023/3/29
概要
レイノー病は、とくに原因となる病気がないのに、寒冷刺激や精神的ストレスなどで、手や足の指先の細い動脈が発作的に収縮し、血行障害をきたすレイノー現象が起こることをいいます。フランスの医師・レイノーによって初めて報告され、この名前が付きました。
おもな症状として、血行障害による指先の冷えや皮膚の色調の変化などが現れます。比較的若い女性に多くみられ、家族にレイノー病の発症者がいることもあります。
血行障害をきたすレイノー現象は、膠原病など、ほかの病気に伴って現れることもあり、この場合は「レイノー症候群」と呼ばれます。最初はレイノー病と診断された後、ほかの病気が発見されることもあり、注意が必要です。
原因
冷たい空気や水などによってからだや手足が冷やされたり、極度の精神的緊張やストレスなどにさらされたりして、手や足の細い動脈に強い収縮が起こることで生じます。血管の収縮は、交感神経が副交感神経よりも優位に働いているときに起こるため、自律神経の異常が原因ではないかと考えられていますが、くわしいメカニズムは明らかになっていません。
症状
手足の指が突然、蒼白となります。このとき、指先のしびれや冷感、痛み、知覚低下などを伴うことがあります。その後、数分して酸素不足の影響でチアノーゼとなり、指が赤紫に変化します。つづいて、酸素不足を補うため血管が拡張し、皮膚は赤くなり、30分程度で正常に戻ります。
症状は、手の指に起こることが多いですが、足、耳、鼻、舌、口唇にも起こり、左右対称にみられるのが特徴です。症状自体は軽症なことが多く、自然に改善していくこともあります。重症化して潰瘍や壊疽(えそ)を起こすことはまれです。
検査・診断
診察時にレイノー現象があるかどうかで診断されます。つづいて、膠原病や血液疾患などレイノー現象の原因となる病気が隠れていないか確認するために、血液検査や尿検査、血管の画像検査を行います。
その結果、原因となる病気がなければレイノー病と診断されます。
治療
レイノー病の治療は、まず生活指導を行い、寒冷を避ける、十分な睡眠をとる、禁煙といった生活習慣の見直しと改善を行います。
症状が強い場合は、血管拡張薬を使用して血流の改善を行うことがあります。また、薬物治療でも効果がないときは、外科的な治療として、血管を収縮させる交感神経の切除も検討されます。
セルフケア
病後
症状がある場合は専門医を受診し、医師の指示に従って再発予防に取り組むことが大切です。手袋や靴下の着用、室内や車内の適切な温度調節など、防寒に十分気をつけるとともに、夏場でも直接エアコンの冷風にあたらない、冷蔵庫の開閉に気をつけるといったことを実践します。また、精神的なストレスを抱えないようにしましょう。喫煙は細い血管を収縮させるため、禁煙を心がけます。
レイノー病では、当初は基礎疾患が不明であっても、後に膠原病などの病気が判明することがあります。医師と相談しながら、経過を観察していくことが必要です。
監修
小田原循環器病院 循環器内科 院長
杉薫
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