閉塞性動脈硬化症

へいそくせいどうみゃくこうかしょう

最終編集日:2023/3/29

概要

手や足などの動脈(末梢動脈)に起こる動脈硬化によって血管が狭くなったり、詰まったりして血流障害が起こる病気です。50代以上の男性に多く、下肢(脚部)の動脈に多く発生します。血流が阻害されることで、冷えやしびれ、さらには歩行時の痛みなどが現れ、重症化すると、潰瘍ができて壊死(えし)に至ることもあります。

閉塞性動脈硬化症を発症した場合、手足の末梢動脈だけでなく、冠動脈や脳血管など全身の血管にも動脈硬化が進行している可能性が高いので注意が必要です。

原因

動脈硬化によって血流が阻害されることで起こります。動脈硬化が起こるおもな要因には、糖尿病、高血圧症、脂質異常症、肥満、喫煙、高齢などがあり、メタボリックシンドロームとも密接な関係があります。

また、腎不全の患者さん、とくに透析を行っている人は、腎機能低下に伴う血管の内皮細胞障害や血管石灰化によって閉塞性動脈硬化症を起こすことがあります。

閉塞性動脈硬化症
手や足の末梢神経で動脈硬化が起きる

症状

閉塞性動脈硬化症の症状は4段階に分けられます。

発症初期は無症状ですが、血流が滞ることで手足が冷たくなったり、しびれたりする症状が現れてきます。

第2段階では、血流不足のため、少し歩いただけで足が痛くなって歩けなくなるものの、少し休むと血液が行きわたり、歩けるようになる間歇性跛行(かんけつせいはこう)が現れます。

さらに第3段階になると、手や足の痛みが強くなり、安静にしていても痛みが治まらない安静時疼痛(とうつう)に至り、夜眠れないなど、QOL(生活の質)が低下します。

第4段階では、重症化して手や足に潰瘍ができて壊死を起こし、最悪の場合、手や足を切断しなければならないこともあります。

検査・診断

問診にて自覚症状の有無や身体所見、家族歴、既往歴、動脈硬化の危険因子などの聞き取りを行い、視診と触診で、皮膚の色や脈拍の確認をし、血行障害の有無や動脈硬化の部位を絞り込みます。つづいて、ABI(足関節上腕血圧比)検査を行い、末梢動脈の血流状態を確認します。足首と上腕の血圧を同時に測定し、足首の血圧のほうが低ければ、足に血流障害が起こっている可能性があります。


さらにくわしく血管の状態を調べるため、超音波検査や、造影剤を使ったX線血管造影検査、CT検査、MRI検査などの画像検査を行います。

治療

閉塞性動脈硬化症の治療では、まず動脈硬化の原因となっている糖尿病、高血圧症、脂質異常症などの治療を行います。

初期の段階では、歩行による運動療法を行います。歩くことにより、足の血行がよくなり、天然のバイパスである側副血行路が発達し、血行が改善します。

第2段階以降では、薬物療法を行い、抗血小板薬、末梢血管拡張薬、抗凝固薬などを使い、血液の流れを改善します。

薬物療法で改善しないほど血管の狭窄や閉塞が進んでいる場合は、カテーテルを使って、狭くなった動脈にバルーンやステントを留置して血管を広げる血管内治療や、閉塞部分を避けるバイパスを新たにつくる外科的治療(血行再建術)を行います。


潰瘍から壊疽に至る段階では、壊死組織から敗血症になることもあり、抗菌薬の投与や、うみの除去、壊死組織の除去などを行います。壊疽の進行度合いによっては、足の切断が必要になることもあります。


セルフケア

予防

閉塞性動脈硬化症を予防するためには、動脈硬化の危険因子である糖尿病、高血圧症、脂質異常症などにならないよう、日頃から健康管理に留意することが大切です。

閉塞性動脈硬化症の症状がある人は、すぐに診察を受け、医師の指示に従いましょう。手足の血行を改善し悪化を防止するため、適度な運動と手足の保温に心がけること、また、傷からの感染や壊死を予防するため、手足を清潔に保ち、深爪や靴擦れなどにも気をつけることが大切です。さらに全身の動脈、とくに心臓や脳の動脈が狭くなったり詰まったりする可能性があるため、全身の健康管理にも気を配りましょう。

監修

小田原循環器病院 循環器内科 院長

杉薫

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