円形脱毛症

えんけいだつもうしょう

最終編集日:2023/3/28

概要

円形脱毛症は、円形の脱毛斑が突然発生する後天性の脱毛症です。

脱毛は頭部だけでなく、体毛が存在するからだのあらゆる部位に発生する可能性があります。頭部に1つだけ脱毛斑がある単発型、複数発生する多発型、頭全体が脱毛した状態になる全頭型、頭髪の生え際が帯状に脱毛する蛇行型に分類され、脱毛がからだ全体に及ぶ場合は汎発(はんぱつ)型と呼ばれます。

自覚症状はほとんどありませんが、脱毛前や脱毛が活発に起きる時期に、軽いかゆみや違和感、赤みを帯びたむくみなどが現れることがあります。

すべての年齢で発生し、男女差もありません。発生原因は不明ですが、毛包組織に対する自己免疫疾患と考えられています。また、遺伝的要因があることもわかっています。このほか、甲状腺機能異常や尋常性白斑、膠原病といった自己免疫疾患やアトピー性皮膚炎に併発する場合があります。

原因

円形脱毛症のくわしい原因は明らかになっていません。現在のところ、からだに備わる免疫機能が毛包組織を異物ととらえてしまい攻撃する自己免疫疾患と考えられています。その攻撃によって毛根が傷つき、毛髪が抜け落ちてしまいます。

ただ、なぜそのような異常が生じてしまうのかは、明らかになっていません。また、橋本病などの甲状腺疾患や、関節リウマチなどの自己免疫疾患、梅毒、貧血、亜鉛欠乏症、出産後の女性ホルモンの減少に伴って起こる場合があります。

このほか、遺伝的要因や、疲労や感染症など肉体的、精神的ストレスが引き金となるのではないかと考えられています。

また、円形脱毛症の患者さんの40%以上がアトピー素因をもつといわれています。

症状

円形脱毛症では、円形や楕円形の脱毛を生じます。脱毛部分は拡大、融合、縮小、再発をくり返すことがあります。脱毛が活発に起こっている時期には、毛髪を軽く引っ張るだけでも毛が抜けてしまいます。円形脱毛症は、脱毛の状態によって次のタイプに分類されます。


●単発型

円形脱毛症の中ではもっとも多くみられるタイプで、突然、頭髪に円形または楕円形の脱毛斑が現れます。約80%が1年以内に治るといわれていますが、脱毛斑が1つの単発型が重症化して「多発型」に変化することがあります。


●多発型

単発型が変化したもので、脱毛斑が2つ以上みられるタイプです。脱毛斑の面積が頭皮の25%以上になると、重症の多発型となり、症状が悪化していくと、それぞれの脱毛斑が結合して大きな脱毛斑になる「多発融合型」に変化します。


●全頭型

脱毛斑が頭部全体に広がり、頭髪が完全に抜け落ちてしまうタイプです。治療が無効のときはウイッグを使用するなどの工夫が必要となります。


●蛇行型

前頭部、後頭部や側頭部の生え際に沿って蛇が通った跡のように脱毛するタイプです。重症の円形脱毛症に分類され、治療期間が複数年にわたる場合があります。


●汎発型

もっとも重症なタイプで、頭髪をはじめ、眉毛やまつげ、体毛など全身すべての毛が抜け落ちてしまいます。効果的な治療方法が確立されておらず、治療でよくならなければ、全頭型と同様にQOL(生活の質)を維持するためにウイッグを使用することもあります。


検査・診断

円形脱毛症は、脱毛斑が円形を呈しているなど症状が典型的であれば、視診による診断が可能です。判断がむずかしい場合は、発症から半年以内であれば、毛髪を軽く引っ張るだけで抜けてしまうか確認する検査(牽引試験)や、頭皮に光を当てて拡大鏡(ダーモスコープ)で観察するダーモスコピー検査で、診断や症状の進行度を判断することができます。

また甲状腺機能異常や膠原病などの別の病気の有無を確認するため、血液検査を行うことがあります。

治療

小さい脱毛斑が1、2カ所程度なら自然に治ることもあります。

根治する治療法は確立されていないので、症状にあわせた治療を行っていきます。

おもな治療法としては、炎症や免疫機能を抑える効果のあるステロイドを脱毛斑に塗る、あるいは局所注射する方法、患部に化学試薬を塗り、人工的に患部に軽いかぶれをひき起こして、リンパ球の毛包への攻撃を弱めて発毛を促す局所免疫療法があります。そのほか、塩化カルプロニウム液の外用、抗ヒスタミン薬やセファランチンJAK阻害薬の内服、紫外線や直線偏光近赤外線を照射する光線療法、大量のステロイドの点滴(ステロイドパルス)などを行うこともあります。

セルフケア

療養中

円形脱毛症の根本的な治療にはなりませんが、QOLの維持・改善のために次のような方法で脱毛をカバーすることができます。

●自分の髪でヘアアレンジする

男性ならオールバック、女性なら髪を後ろで束ねるなど、脱毛の場所に応じてヘアスタイルを工夫するとよいでしょう。

●スカーフやヘアバンド、帽子

髪や頭皮の負担にならない綿やシルクなどの素材や、ゆとりのあるサイズのものを選ぶとよいでしょう。

●ウイッグや付け毛

アレンジ次第では、好きな髪型を楽しめるなどQOLの維持・改善に効果を発揮します。ウイッグを購入する際は、医療用のウイッグメーカーに相談してみることもおすすめです。

●ヘアファンデーション

ヘアファンデーションは、地肌に色を付けて脱毛を隠す方法です。職業上の理由などで帽子などをかぶれない人や、ウイッグや付け毛に抵抗がある人は、ヘアファンデーションを試してみるとよいでしょう。

監修

関東中央病院 皮膚科 部長

鑑慎司

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