褥瘡(床ずれ)じょくそう・とこずれ
最終編集日:2023/3/24
概要
病気や加齢などによって、寝たきりや座りっぱなしなど同じの姿勢を長時間つづけることで、体重で圧迫されている部分の血流が滞り、皮膚症状が現れる状態です。
仰臥位(仰向けに寝る)では仙骨、肩甲骨、ひじ、かかと、後頭部など、座位では坐骨、仙骨、かかと、後頭部など、骨が寝具や椅子などと接する部分に起こります。病変は皮膚だけでなく、皮下脂肪、筋肉、さらには骨にまで達することもあり、早期に発見して治療・予防に努めることが大切です。
原因
体重移動や体位変換がない状態がつづくことで、皮膚の同じ部位が持続的に圧迫されることにより血流の低下や停止を起こし、褥瘡になります。
外的な力だけでなく、組織の耐久力の低下、低栄養、やせ、基礎疾患(発熱、疼痛、麻痺、関節拘縮、廃用性萎縮、知覚の低下、意識障害など)、医療行為(手術や安静)なども大きく関与します。
症状
初めは褥瘡の好発部位の皮膚が赤くなります。褥瘡であるかどうかは、3秒ほど指で押してから指を離して、色の変化をみます。色の変化がなく、赤いままであれば初期の褥瘡です。
急性期には皮膚が赤紫色になり、水疱、内出血が起こります。麻痺などの神経障害がなければ、痛みや違和感、熱感などを覚えます。
褥瘡が悪化して深部まで進行すると、皮膚が壊死して黒くなり、筋肉や脂肪も壊死してうみをもち、においを発するようになります。壊死した部分が脱落すると、骨が露出することもあります。
検査・診断
皮膚の状態をみて診断します。注意してみるべき点は、傷の深さ、傷から出る体液(浸出液)の量、傷の面積、炎症や感染の有無(傷の周りの赤み、腫れ、熱感や痛み、あるいはうみ、悪臭、全身の発熱)、肉芽組織の状態、壊死組織の状態、ポケット(表面の皮膚は無事でも、深いところの組織がなく空洞になっている)の有無です。
治療
まず、それ以上褥瘡が悪化しないよう、褥瘡の原因となるものをできるだけ除去します。褥瘡を洗ってきれいに保つことに努めます。
褥瘡に壊死組織があれば、塗り薬や外科的処置で除去します。感染があれば殺菌作用のある塗り薬を使い、重症ならば抗生物質の飲み薬や点滴も併用します。壊死組織も感染もなければ創傷治癒を促す塗り薬や創傷被覆材(ドレッシング材)を用います。
褥瘡の程度によっては局所陰圧閉鎖処置(NPWT)、ポケットの皮膚切開術、皮弁作成術などを用いた再建術をすることもあります。
セルフケア
予防
褥瘡を予防したり、悪化させないためには、専門的な知識や技術が必要になります。さまざまな医療職などの指導にしたがって、適切な予防対策を実践しましょう。2~4時間以内の体位変換、自動体位変換機能付きエアマットレス、寝ているときや座っているときの体圧を分散させるクッションや体交枕、食事による栄養摂取の見直しと改善、失禁から皮膚を守るためのスキンケアなど対策は多岐にわたります。
監修
関東中央病院 皮膚科 部長
鑑慎司
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