小児外反扁平足しょうにがいはんへんぺいそく
最終編集日:2023/1/30
概要
足には縦、横の2つのアーチ構造があります。外反扁平足は縦アーチが低下・消失し、外見上、足にある土踏まずが消失する扁平足に加え、立った状態でかかとを後方から観察したときに、かかとが垂直になっておらず、ハの字のように内側に傾いた状態(外反)が加わったものをいいます。後足部に対して前足部が外側に偏位する状態(外転)を伴い、後ろから見て足の指が外側のほうに多く見えることもあります。
小児の外反扁平足は、明らかな原因がないものと、麻痺や骨格上の問題など、先天的に原因があるものに分けられます。通常、子どもの足部のアーチは低い傾向にあり、成長過程でアーチが形成され、扁平足があってもよく足を使うことで自然に改善されていきます。しかし、子どもを取り巻く環境の変化によって、外で遊ぶ機会が減少しているため、足の筋力低下による外反扁平足が増加していると考えられています。
原因
発症は、未熟な足部の組織に荷重による負荷がかかり、かかとが外反することが一時的な原因とされています。ほとんどの場合、明らかな原因はありませんが、まれに生まれつき関節が緩い、あるいは骨・関節に変形がある場合や、運動発達障害、神経・筋疾患などの先天的な疾患が原因になることもあります。
症状
小児外反扁平足では痛みといった自覚症状はほとんどありません。立ったとき、かかとが内側に傾いた状態(外反)となり、土踏まずが消失する扁平足変形がみられます。それに伴い、転びやすさや疲れやすさ、靴の片減りなどが起こることがあるほか、足に負担がかかることで、膝関節や股関節にも痛みが生じることもあります。また、外反扁平足が年齢を重ねても改善しない場合は、足の親指に負荷がかかり、外反母趾になるリスクも高くなります。
検査・診断
まず立位で土踏まずがあるかどうかや、かかとの骨が外反しているかを確認します。また、立位のまま体重をかけた状態でX線検査を行い、骨や関節の状態を詳細にチェックします。このほか、原因疾患が疑われる場合は、その検査も同時に進めていきます。
治療
小児の外反扁平足は、成長に伴い改善することが多いため、経過観察を行います。筋力強化を目的に積極的に運動をさせてアーチの形成を促します。アーチの低下が強い場合は、土踏まずを下から持ち上げるアーチサポート、整形外科靴などの変形を矯正する装具をつけることで症状の改善を図ります。
それでも改善しない場合や、先天的な骨の変形がある場合は、手術を行うことがあります。
セルフケア
予防
小児の外反扁平足は、4歳くらいには自然に改善していきますが、それより上の年齢でも外反しているときは外反扁平足の可能性があります。外反扁平足かどうかを確認するには、立った状態で次のポイントについてチェックを行います。
●土踏まずの高さが低くなっている
●後ろから見て、足の指が外側のほうに多く見える
●後ろから見て、かかとの骨がハの字になっている
1つでも当てはまるときは、小児外反扁平足の可能性があるため、専門医に相談しましょう。
監修
東馬込しば整形外科 院長
柴 伸昌
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