新しい環境でストレスを感じたら
最終編集日:2025/4/28
4月は入社や異動など、環境が大きく変化する人が多い時期です。新しい環境の中で、ストレスを感じることも少なくないでしょう。
ストレスの度合いを測定する方法に、アメリカの心理学者のホームズとレイが開発した「社会的再適応評価尺度」があります。これは、生活上の大きな出来事(ライフイベント)によって引き起こされたストレスの度合いを測定する尺度です。生活の変化に再対応するためのエネルギーが心身に影響を与えるという考えに基づいたもので、結婚に対するストレス度を基準値の50とし、0~100点の間で示します。この研究を日本人向けにした「勤労者ストレス調査票」によると、仕事で4月に生じやすいライフイベントのストレス度は、人事異動が58、配置転換が54、単身赴任は60などです。なお、結婚、転居などのライフイベントにもストレスはかかりますので、複数の要素が重なれば、それだけストレス度も大きくなります。適度なストレスは必要なものの、過度なストレスは心身の健康を損なうことにもつながりますので、こまめにケアすることが大切です。
●ストレスサインを見逃さない
ストレスを受けると、私たちの心とからだはさまざまなサインを出します。「やる気が出ない」「急に不安になる」「ネガティブなことばかり考える」「集中できない」「眠れない」「食欲がない」「寝ても疲れがとれない」「からだがだるい」「些細なことでイライラする」といった状態は、ストレスのサインと言ってよいでしょう。
ストレスによるサインに気づかない、または感じながらも放置していると、心身の不調にもつながります。心身の健康を保つためには、早めにストレスサインをキャッチすることが大切です。サインを感じたら、積極的に休養する、気分転換をする、運動をするなど、自分なりのストレス解消法を見つけて実行しましょう。
●生活に支障が生じる場合は早めに受診を
ストレスはこまめに解消しないと、降り積もる雪のようにたまっていきます。長期間にわたってストレスが続くと、睡眠障害(なかなか眠れない、夜中に目が覚めて熟睡できない、いくら寝ても眠いなど)や胃腸の不調(食欲不振、胃痛、下痢、便秘など)、頭痛、肩こりや腰痛、倦怠感など、心身にさまざまな不調が起きることがわかっています。また、高血圧や糖尿病など、生活習慣病の危険因子になるともいわれています。心身の不調が続くことで、「朝起きられずに出社できない」「日中眠くて集中できない」「痛みやだるさで活動が億劫」「気分が落ち込み家に閉じこもりがち」など、日常生活に支障をきたしてしまう場合もあります。
ストレスによる症状が長引いたり、生活に支障が出たりする場合は、早めに心療内科や精神科を受診し、専門医に相談しましょう。
監修
赤坂溜池クリニック 院長
降矢英成