Question

復職した部下に周囲の理解を求めるには

うつ病で3カ月休職していた部下が先日復職しました。今はリハビリ出社中で、産業医と相談しながら業務量や勤務時間の調整をしていますが、忙しい職場のため、一部の社員から不満が出ています。同じ部署の社員には事情を説明してありますが、復職後の様子が一見、元気だった頃と変わりないので、もっと働けるのではないかと思われているようです。本人の気持ちを考えると、あまり大げさにしたくはないのですが、他の社員たちにどのように理解を求めたらよいでしょうか。

男性/50代

2021/12/21

Answer

部下が復職をされて、ひとまず安心ですね。ただ、周囲の協力が得られないと復職した部下もつらくなってしまいますし、また再休職という事態になれば、周囲の方々も結果的には苦しい思いをされることになりますから、できるだけそのような事態は避けたいところです。


部内の社員には事情を説明されているそうですが、まずは、その内容が十分に理解されているかがポイントとなります。一般的に、うつ病に限らず復職直後は、会社で仕事をするリズムに心身の状態がまだ慣れていません。従って、回復したとはいっても、通常の状態よりは疲れやすいのです。また、部下が表面上は元気に見えても、じつは無理をしているのかもしれません。うつ病の方は、生真面目で完ぺき主義な性格の方が多く、復職後に「早く元のレベルまで仕事ができるようにならなければ」「周りの人に迷惑はかけられない」「休んだ分を取り返さないと」と焦り、その結果がんばりすぎてしまうケースも多く見受けられます。少しずつ仕事に慣れ、元の生活に戻っていくには時間がかかること、ご本人は元気があるように見えても、実際の体調面とギャップがある可能性があること、だからこそ専門知識を持つ産業医の指導の元で勤務調整が必要になることを、ご本人の承諾を得られる範囲の中でわかりやすく説明することが大切になってきます。なお、復職後のプログラムが会社の制度として定められている場合は、「復職した当の本人」にも「周囲の社員」にも、そのことを周知することが必要です。


こうした説明とともに、まずは上司として周囲の社員の方々へ、ふだんより負担が大きくなっていることへのねぎらい、一緒に部下のサポートをしてくれていることへの感謝の気持ちを伝えてください。負担が大きくなっていることについて、上司がそれを「当たり前」と思っているのか、あるいは公正に評価しているのかでは、周囲の士気は当然変わってきます。さらに、日頃から「誰かが困っていたら、周囲がサポートする」という体制ができているか、ということも大事です。お互いに助け合う雰囲気ができていれば、復職者のフォローもその延長線上として、自然にできる素地ができていることになります。


また、フォローする社員の中でも負担の度合いが異なっていないか、特定の人に業務が集中していないか、注意を払うことも必要です。復職した方をフォローすることで、また他の社員が業務過多から健康を害してしまう事態は避けなければなりませんし、そうでなくても「自分だけとても業務が増えてしまった」という不公平感を感じさせてしまうことはよくありません。明らかに業務量に比して人数が足りないときには、人員を確保してもらうように人事担当者に依頼をしたり、増員がむずかしい場合は優先順位の高いものから対応していくよう、柔軟に判断して采配、指示することもとても大事なことです。


周囲の方々も「もちろん協力は惜しまない」という気持ちはありつつも、「いつまでこの状態が続くのか」と不安に思う気持ちがあるかもしれません。おおよその見通しや区切りの時期を伝えておくこともひとつの方法です。ただし、部下の回復の程度や目安は、必ずしも想定通りとはいかない場合もあります。そのことも説明した上で、一旦、区切りの時期がきたときに改めて現状について振り返りを行い、業務の調整や見直し、分担について検討して指示を出すことを伝えておくと、部下みなさんの不安も軽減していくと思われます。


上司が部署全体をきちんと把握して、状況をコントロールするという姿勢が部内全体に伝わっていくことで安心感が増していき、復職された部下への風当たりが軽減されていくことにつながっていきます。

回答者

保健同人フロンティアメディカルチーム

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